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技術士二次試験【添削でA判定の解答例】Ⅱ-2 機械部門 材料力学 残留応力(問題Ⅱ対策)

技術士の試験対策は順調でしょうか?

今回は、機械部門のキーワード「残留応力」について、問Ⅱ形式で解説します。

まず、問Ⅱを想定した問題を次の通りとします。

この解答例は、新技術開発センターにて、添削を頂いた答案となります。
なお、添削を受ける前の答案は70点(/100点)の評価をいただきました。
60点以上でAランク、合格点なので、当時の答案としては問題ないと言えそうです。

材料・信頼性工学【問Ⅱ】

工業製品の中には、残留応力を積極的に利用して品質や強度上の効果を向上されているものがある。一方で予期しない残留応力にはデメリットもあり、背計上何らかの対策をしなければならない場合も多い。材料力学的観点から、以下の問いに答えよ。

(1)残留応力のメリット、デメリットを述べよ
(2)残留応力を利用している製品を3つ挙げ、それぞれの残留応力の付与方法について述べよ。
(3)デメリットの場合の対応策とその効果について、あなたの意見を述べよ。

1.解説

残留応力は、製品を製作する際にあらゆるシチュエーションで発生します。

イメージしやすいのは、刀鍛冶ではないでしょうか。

熱して柔らかくした刀身に、ハンマーを打ち付け鍛えます。

ハンマー打ち付けると、刀身の表面に圧縮の残留応力が残ります

この金属表面にできた圧縮残留応力によって、傷が発生した場合でも、その傷を閉じようとする方向に力が加わります。

もう少し具体的に言うと、刀身に引張応力が作用した際、圧縮の残留応力分、付与荷重が軽減されます。

さらに疲労強度も向上します。

2.解答例

1.残留応力のメリット、デメリット
1.1.メリット(圧縮方向の残留応力

(1)表面強度の向上  表面に作用する引張応力を打ち消す。
(2)耐疲労性能向上  図1の通り、き裂抑制により寿命延伸する。

1.2.デメリット(引張方向の残留応力)
(1)表面強度の低下
  表面に作用する引張応力を助長する。
(2)耐疲労性能低下  図1の通り、き裂を加速させ、疲労性能低下させる。

2.残留応力を利用している製品と応力付与方法
(1)強化ガラス 

①イオン交換法  Naイオンを含有したガラスを、Kイオン水溶液に浸け、ガラス表面にKイオンを侵入させることで、表面に圧縮応力を付与する。
②風冷強化法  板ガラスを650度付近の軟化点温度まで温度を上げて、冷風により表面温度を急激に低下させ、表面に圧縮応力を付与する。

(2)バネ  無数の鉄球を高速度でバネ材に打ちつけ、材料表面をへこませる。その結果、表面に圧縮の残留応力を付与する。ショットピーニングという。

(3)大砲の砲身  アルミ、クロム、モリブデンなど窒化物を含む鋼を、アンモニア雰囲気内で500℃で加熱する。すると鋼の表面近傍に窒化物を形成するため、圧縮残留応力が発生する。窒化処理という。

3.残留応力(デメリット)の対応策と効果
3.1.対応策
(1)具体例  

鍛造軸を想定する。鍛造軸は高温にしたS45Cをハンマーでプレスし成形する。加工中に空冷され、その冷却収縮速度が部材内で異なるため、内部に残留圧力が発生する。引張の残留応力が発生する個所では強度、疲労性能が低下するため、応力除去したい。

(2)応力除去焼きなまし(対応策)  
鍛造軸を炉に入れ、550~650℃で加熱保持する。鋼は約450℃以上で再結晶温度となるため、内部の残留応力が抜ける。その後、炉に入れたまま徐々に温度を下げて冷却させる。450℃以下まで下がれば、空冷しても良い。

(3)処理  
S45C材を使用して鍛造軸を試作したが、引張強度が基準値560MPaに対し、540MPaとなりNGとなった。その際温度チャートを確認したところ、加熱保持時間が30分程度と短かったことから、1時間に変更した。その結果、引張強度が580MPaに改善した。

3.解答例(原稿用紙)

ABOUT ME
takeyuu
倹約投資家サラリーマンパパ33歳。ずっとニコニコ円満家庭が目標。 機械/電気で技術士一次試験合格。 機械で技術士二次試験不合格するも、合格を目指し情報発信中。 (令和2年の結果 問Ⅰ:A、問Ⅱ:C、問Ⅲ:A)