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技術士二次試験【過去問の解答例】Ⅱ-2 機械部門 材料強度・信頼性(長期間の稼働 機能の損失や破壊 損傷モード 損傷を防止)

今回は平成27年の問Ⅱ-2について、回答案を開示します。

キーワードは「長期間の稼働」「各種の損傷」「機能の損失や破壊」「損傷モード」「損傷を防止」です。

ご自身の製品と技術を取り入れて、ご自身にて答案を作成下さい。

材料力学【平成27年Ⅱ-2】

機械構造物は長期間の稼働の後、各種の損傷により機能の損失や破壊に至る。
(1)具体的な機械構造物を想定し、損傷モードを挙げた上で、これに及ぼす材料力学的要因を多面的に述べよ。
(2) (1)の項目から最も重要と考える項目を挙げ、損傷を防止するための技術的提案を述べよ。
(3) (2)の技術的提案の効果と想定されるリスクを述べよ。

解答例

1.ドラム式ブレーキシューの想定
具体的な工業製品として、ドラム式のブレーキシューを想定する。ライニングが鉄製のシューに接着剤固定される。シューには押付バネから力を受け、ライニングを制動面に押す機能を有す。
損傷モード:シューのき裂・切断、接着剤の剥離



(1)押付力による繰返し引張圧縮疲労破壊
ブレーキ動作、非動作の繰返しにて疲労破壊する。
(2)非常時動作による衝撃破壊
非常時に急峻に電力を遮断しブレーキを落下させるため、シューに衝撃力が加わる。
(3)接着剤のクリープ破壊
最大50℃の環境にてカゴを静止保持し続けるため、接着剤に応力が掛かり続けクリープ破壊する。
(4)応力腐食割れ
結露にて水滴が発生しうるため、応力集中部への応力腐食割れ懸念がある。


2.最も重要と考える項目「疲労破壊」の防止策
(1)疲労限度線図による材料、寸法、表面処理の選定

素材はFC250を使用し、コスト面と厚肉構造を両立する。両振引張圧縮の疲労限から疲労線図を引き、素材バラつき、荷重変動を考慮し安全率=1.45とし寸法決定する。
(2)FEM解析による発生応力把握
ライニングより等面圧で荷重を受けた際の発生応力をFEM解析する。球面座の接触は摩擦係数=0.09にて摩擦指示とし、球面ヘッドを固定する。
(3)ひずみゲージによる発生応力の確認
測定箇所をRa=6.3程度まで紙やすりで磨き、電気式日組ゲージを接着する。応力発生方向に注意してゲージを貼り付ける。解析値と同等である事を確認する。
(4)疲労試験後の浸透探傷試験
1500万回動作後、浸透液を探傷面に塗り、染み込むまで5~30分待つ。その後ウエスにて傷内部以外の探傷液を除去し現像材を付ける。き裂無き事を確認する。


3.技術的提案の効果とリスク
(1)効果
①環境温度-10℃~50℃、25年間駆動可能

②安価な低級鋳物材適用により材料コスト低減可能
応力腐食割れ対策として低級材の肉厚構造とした。
③浸透探傷試験による検査コスト低減
超音波探傷試験等、高価な検査機器が不要。
(2)リスク
①取付不良や異物噛み込みによるシュー破断

シューは球面座に面接触するが、そこに異物が噛みこむと面圧が急増し脆性破壊を促進する。シュー動作を監視可能なようにスイッチで異常検出の対策を取る。
②薬品使用物件やオイルミスト環境下でのSCC発生
SCCを促進させる特殊物件については、隙間部をゴムで密閉するカバーを適用する。

以上

解答例(原稿用紙)

ABOUT ME
takeyuu
倹約投資家サラリーマンパパ33歳。ずっとニコニコ円満家庭が目標。 機械/電気で技術士一次試験合格。 機械で技術士二次試験不合格するも、合格を目指し情報発信中。 (令和2年の結果 問Ⅰ:A、問Ⅱ:C、問Ⅲ:A)