技術士二次試験における「高等の専門的応用能力」とは?

技術士二次試験に合格するためには、「高等の専門的応用能力」が欠かせません

Udemy技術士二次試験講座では、高等の専門的応用能力を、2つ目の柱としています。

でも「高等の専門的応用能力」が大事!と言っても、イメージが湧かなかったり、具体的にどんな勉強や対策を行えばいいか分かりません。

そこで本記事では、「高等の専門的応用能力」の概要と、具体的な対策方法を説明します!

目次

高等の専門的応用能力とは|知識編

はじめに:技術士って、ただの「物知り博士」じゃない!

技術士と聞くと、「ああ、すごい資格だよね」「理系のエリートって感じ」と思われがちですが、実はそれだけじゃありません。技術士に求められるのは、単なる知識の詰め込みではなく、「現場で使える知恵」、つまり「高等の専門的応用能力」なのです。
この言葉、ちょっと堅苦しいですよね。なんだか「高等」って聞くだけで、急に背筋が伸びてしまいそう。でも安心してください。今回はこの「高等の専門的応用能力」が何なのか、なぜそれが大事なのか、そしてどうやって試験でアピールすればいいのかを、ちょっと笑いも交えながら、わかりやすく解説していきます。

「高等の専門的応用能力」って結局なに?

高等の専門的応用能力を分解してみる

高等の、専門的、応用能力 と3つに分解して考えます。

高等の:「高等」という言葉は、広辞苑でも「水準が高い」や「段階が高い」というように、他のものよりも高いレベルや段階にあることを表します。

専門的:技術士としての専門性は、建設部門や機械部門などの「技術部門」、土質及び基礎や機械設計などの「選択科目、受験申込書や答案用紙に記載する「専門とする事項」があります。

応用能力:「応用能力」を広辞苑で調べると、「未知の問題をこれまでの経験と知見を使って解決する力」と定義されます。具体的には、既存の知識や技術を新しい状況や問題に適用して、問題解決や改善に繋げる能力を指します。

ざっくり言うと、「ただ知ってるだけじゃなくて、それをどう使うかまで考えられる力」です。

たとえば、あなたが「橋の構造計算ができる」としましょう。それだけでは「知識がある人」です。でも、「この橋、老朽化してるけど、予算も少ないし、交通止めたくないし…どうする?」という現場の課題に対して、「じゃあ、炭素繊維で補強して、夜間工事にすればどう?」と提案できる人。これが「応用能力のある人」です。

さらに、「これまでの工法と効果比較してみよう」「その工法、他の橋にも使えるかも」「次はドローンで点検してみよう」と未来を見据えた提案までできたら、それはもう「高等の専門的応用能力」バッチリです。

技術士試験では、なぜこれが重要なの?

技術士試験、特に二次試験では、「あなたがどれだけ現場で活躍できるか」が問われます。つまり、「知ってる」だけじゃダメ。「使える」「考えられる」「応用できる」ことが求められます。

試験官はこう思っています:
「この人、現場でトラブルが起きたとき、ちゃんと対応できるかな?」
「新しい技術が出てきたとき、柔軟に取り入れられるかな?」
「関係者とちゃんと話し合って、最適な解決策を導けるかな?」
これらすべてが、「高等の専門的応用能力」に含まれています。

普段の業務を見つめ直すことが、重要ですね!

実例で見る!応用能力の発揮とは?

では、実際の論文風に、ある技術士受験者の経験を見てみましょう。

【事例】老朽化橋梁の補修計画
■ 背景
筆者は地方自治体の技術職員として、築50年の橋梁の補修計画を担当。主桁の腐食、支承の劣化が進行しており、早急な対応が必要だった。

■ 課題
– 予算が限られている(いつものこと)
– 交通規制は最小限にしたい(住民のクレームは避けたい)
– 耐久性は確保したい(当然)

■ 検討した選択肢
1. 鋼板接着補強(コスト高、施工に時間がかかる)
2. 支承交換(大規模工事、交通規制が必要)
3. 炭素繊維補強(コスト中、施工性良好、耐久性もOK)

■ 選定理由
炭素繊維補強を選定。夜間施工で交通規制を最小限に抑え、コストも予算内に収まる見込み。

■ 結果
– 工期:当初計画より20%短縮
– コスト:15%削減
– 住民からの苦情:ゼロ!(これは嬉しい)

■ 応用と展望
この工法は他の中小橋梁にも応用可能。今後はドローン点検と組み合わせた予防保全型の維持管理を提案中。

どうやって論文でアピールする?

論文では、以下のポイントを押さえると「応用能力」が伝わります。
✅ 課題の背景をしっかり説明
「なぜそれが問題だったのか?」を明確に。
✅ 複数の選択肢を提示
「他にも方法はあったけど、これを選んだ理由」を論理的に。
✅ 結果と評価を数字で示す
「なんとなく良かった」ではなく、「○%削減」「○件の苦情ゼロ」など、具体的に。
✅ 応用可能性や改善案を述べる
「この経験をどう活かすか?」を未来志向で。

まとめ:応用能力は「技術者のセンス」!

「高等の専門的応用能力」とは、言い換えれば「技術者としてのセンス」です。知識を現場でどう使うか、どう工夫するか、どう伝えるか。それができる人こそ、技術士にふさわしいのです。

試験では、あなたの「センス」を論文という形で伝えることが求められます。ちょっと照れくさいかもしれませんが、自分の経験を堂々と語ってください。あなたの中にある「応用力」、きっと伝わります。

おまけ:応用能力がある人の特徴(ユーモア的事例)

– 「予算がない」が口癖。でもなんとかする。
– 「前例がない」と言われると、燃える。
– 「それ、面白そうですね」が口癖。
– 「とりあえずやってみよう」と言いがち。
– マクロやPythonを使いこなすと、ちょっとドヤ顔。

高等の専門的応用能力をどう伝える?|実践編

では、試験までにどんな準備を行えばいいのでしょうか?

高等の専門的応用能力を分解して考える

高等の:進歩性や新規性を意識して、申込書や論文を書きます。

専門的:課題や解決策は「技術的に具体的」に。部門/科目の「キーワード」を意識して伝える。

応用能力:これまで・普段の業務経歴や知見をうまく活用して、未知の問題(出題テーマ)を解決する方法を考えます。

高等の:進歩性や新規性を意識する

高等の:進歩性や新規性を意識して、申込書や論文を書きます。

ここでは、私が書いた受験申込書の業務内容の詳細を例に、説明します。

【背景と課題】 分速〇〇m定員〇〇名のエレベータ開発に伴い、オーバーヘッド寸法を〇〇m低減するため、巻上機のドラム式ブレーキ(以下、BK)を上部→下部配置に変更する。下部配置に伴いロープ・カゴへの干渉を回避したBKの小形化が必要となった。BKは、開閉動作を担う電磁コイル、シュー、バネ、バネ受け(φ〇〇長さ〇〇mm)、可動鉄心を保持するピン(φ〇〇長さ〇〇mm)から構成される。BKの小形化では、ピンの削減による可動鉄心の保持構造を設計。

【立場と役割】 BKの小形化をする全体設計(構造物の強度設計、構成部品の選定)の設計責任者。

【問題点】 ピンの削減に伴い、バネ受けはバネ力とBK制動力の連成力が作用し、バネ受け傾き時の挙動と強度に問題があった。(→ここで従来構造の問題点を明確にし、提案の必要性を示します。)

【技術的提案】 BKの小形化では、鉄心を透磁率の高い低炭素鋼に変更するとコストが増加し、鉄心部寸法設計は〇〇%の体積削減に留まるため、非鉄心部のピンを削減できないかと考えた。 従来のバネ受けは、固定鉄心のバネ格納穴底部に配置し、ピンは鉄心外極部の幅方向中心に2カ所別々に設けられていた。 (→提案構造を理解してもらうために、従来の構造を具体的に書きます)ピンの削減による可動鉄心の保持は、バネ受けを可動鉄心と固定鉄心のギャップ部配置する構造とした。保持構造は、3DCADでバネ受けと穴円筒部との干渉確認を行い、バネ受け傾き時に引っ掛からない寸法公差と幾何公差を設計した。(→提案構造を具体的に書くことで、新規性をアピールします)更に連成力の影響を算出し、短期長期での強度を理論数値計算と有限要素法解析の両面にて確認。検証部門と共同で動作確認試験と強度試験を行い問題無き事を確認。

【成果】 BKを〇〇→〇〇mm3へ〇〇%小形化。

【評価】 本技術は分速〇〇m定員〇〇名の巻上機にも展開し、月間約〇〇台出荷されている。

専門的:「技術的に具体的に」部門/科目のキーワードを意識する

専門的:課題や解決策は「技術的に具体的」に。部門/科目の「キーワード」を意識して伝える。

ということで、さらに詳細に以下3つに分けて考えていきます。

  • 筆記試験3枚論文の(1)課題抽出は、技術的な問題点を具体的にしたい
  • 筆記試験3枚論文の(2)解決策は、技術的な案を具体的に示したい
  • とは言っても自分の狭い専門分野は、他人に伝わりにくい。伝わりやすいキーワードを上手く使う。

筆記試験3枚論文の(1)課題抽出は、技術的な問題点を具体的にしたい

課題設定の良くない例:
1)老朽化する巻上機の安全確保:安全の観点
 ビルの寿命が50年に対し、エレベータの寿命は25~30年であるため、保守やリニューアルなど延命措置が重要である。SDGsのNo.11「住み続けるまちづくりを」に影響する問題点は、エレベータの駆動を担う巻上機の老朽化により、エレベータが停止することである。課題は、老朽化する巻上機の安全性確保と保守作業の効率化である。(安全の観点で、技術的にどんな問題があるのか不明。そのため、課題設定が腑に落ちない。)

課題設定の良い例:
1) 環境変化や製品ばらつきの考慮:安全の観点
 ブレーキの制動力不足により、エレベータが戸開走行やバッファストライクした事故例がある。この制動力不足は、環境変化や製品ばらつき等、設計時の想定不足に起因する。この設計時想定不足の問題に対し、要求品質の早期可視化や不具合を未然防止する設計が必要である。(安全の観点で、技術的にどんな問題があるか記載した上で、それにマッチした課題を提起する。)

筆記試験3枚論文の(2)解決策は、技術的な案を具体的に示したい

解決策での良くない例:
3) 巻上機の小型化および軽量化 
 巻上機は、永久磁石の材料であるレアアースや、コイルの材料である銅等、希少なものが多く使用される。巻上機の小型化や軽量化は、この希少な材料の使用量を削減させ、資源の維持や環境改善に繋がる。この巻上機の小型化や軽量化は、輸送時のコスト削減と輸送エネルギーが低減できる。また、現地にて廃却していた巻上機の梱包枠や組立用揚重治具が不要となり、現地での廃却物が削減できる。(→効果を書いてしまっている。効果ではなく実施の形態を具体的に書きたい。)

解決策での良い例:
3) タグチメソッドによる小形化設計
 巻上機の小形化設計では、モータ発熱による巻上機温度上昇値のばらつきを少なくすることが重要である。その温度上昇値は、筐体の鋳造時寸法誤差やグリース劣化時の粘度などにより変動するため、タグチメソッドを活用して、筐体の放熱フィン形状やグリース材料の最適化を図る。(→小形化設計をどう行うか、根拠を示しながら具体的に書いている)

キーワードを使って効果的に伝える

キーワードを使いながら、専門的にうまく伝える例はこちらです。私が口頭試験対策のときに指摘され、修正しました。

良くない例:
コスト低減と品質確保要求の対立は、関係者への説明を経て合意形成した。(→なぜ合意形成できたのか不明。口頭試験は簡潔に説明したいが、あまりに説明不足)

良い例
製品設計では、コスト低減と品質確保要求が対立した。品質機能展開FMEAを用いて、寸法・コスト・品質の関係性を明示し、関係者への説明を経て合意形成した。(→どんな対立に対してどう合意形成したか、キーワードを交えて簡潔に説明した。結果、口頭試験は高得点であった)

応用能力:これまで・普段の業務経歴や知見をうまく活用

応用能力:これまで・普段の業務経歴や知見をうまく活用して、未知の問題(出題テーマ)を解決する方法を考えます。

例えば、受験申込書でこのように応用能力を示す方法があります。

【立場と役割】 BKの小形化をする全体設計(構造物の強度設計、構成部品の選定)の設計責任者。

【問題点】 ピンの削減に伴い、バネ受けはバネ力とBK制動力の連成力が作用し、バネ受け傾き時の挙動と強度に問題があった。

【技術的提案】 BKの小形化では、鉄心を透磁率の高い低炭素鋼に変更するとコストが増加し、鉄心部寸法設計は〇〇%の体積削減に留まるため、非鉄心部のピンを削減できないかと考えた。 (→過去に鉄心部の材料や寸法設計を行なった経験があり、それを適用すると〇〇%の効果に留まることを知っているため、新たな方法を講じる必要があることを説明しています)従来のバネ受けは、固定鉄心のバネ格納穴底部に配置し、ピンは鉄心外極部の幅方向中心に2カ所別々に設けられていた。ピンの削減による可動鉄心の保持は、バネ受けを可動鉄心と固定鉄心のギャップ部配置する構造とした。保持構造は、3DCADでバネ受けと穴円筒部との干渉確認を行い、バネ受け傾き時に引っ掛からない寸法公差と幾何公差を設計した。更に連成力の影響を算出し、短期長期での強度を理論数値計算と有限要素法解析の両面にて確認。検証部門と共同で動作確認試験と強度試験を行い問題無き事を確認。

まとめ

高等の専門的応用能力を分解してみる

高等の、専門的、応用能力 と3つに分解して考えます。

高等の:「高等」という言葉は、広辞苑でも「水準が高い」や「段階が高い」というように、他のものよりも高いレベルや段階にあることを表します。

専門的:技術士としての専門性は、建設部門や機械部門などの「技術部門」、土質及び基礎や機械設計などの「選択科目、受験申込書や答案用紙に記載する「専門とする事項」があります。

応用能力:「応用能力」を広辞苑で調べると、「未知の問題をこれまでの経験と知見を使って解決する力」と定義されます。具体的には、既存の知識や技術を新しい状況や問題に適用して、問題解決や改善に繋げる能力を指します。

高等の専門的応用能力を分解して考える

高等の:進歩性や新規性を意識して、申込書や論文を書きます。

専門的:課題や解決策は「技術的に具体的」に。部門/科目の「キーワード」を意識して伝える。

応用能力:これまで・普段の業務経歴や知見をうまく活用して、未知の問題(出題テーマ)を解決する方法を考えます。

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