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技術士二次試験の機械部門テーマ攻略法を紹介(脱炭素、SCM、DX、小型化など)

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技術士二次試験の機械部門を受験する予定

様々なテーマが出題されるため、来年の出題に怯えている

技術士二次試験では、毎年さまざまなテーマで論文試験が行われます。

情報化、SDGs、脱炭素、機械の保全、SCM、災害対策、技能伝承・・・

次年度に出題されるテーマにヤマを張っても、これだけテーマが多ければ外す可能性が高い。

ならばどのように対策するか、頭を悩ませると思います。

どんな出題にも対応できる骨子群を作成し、その場で柔軟に回答を作れるようにする。

この具体的な方法を解説します。

この記事を書いた人

令和5年に技術士(機械部門)合格
技術士講座で試した講座は6社
記事コンテストで銅賞獲得

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たけゆう
目次

機械部門の6つの専門分野

機械部門の専門分野は、技術士会からこのように提示されています。

1.機械部門
1-1 機械設計

設計工学、機械総合、機械要素、設計情報管理、CAD(コンピュータ支援設計)・CAE(コンピュ ータ援用工学)、PLM(製品ライフサイクル管理)その他の機械設計に関する事項

1-2 材料強度・信頼性
材料力学、破壊力学、構造解析・設計、機械材料、表面工学・トライボロジー、安全性・信頼性工学 その他の材料強度・信頼性に関する事項

1-3 機構ダイナミクス・ 制御
機械力学、制御工学、メカトロニクス、ロボット工学、交通・物流機械、建設機械、情報・精密機器、 計測機器その他の機構ダイナミクス・制御に関する事項

1-4 熱・動力エネルギー 機器
熱工学(熱力学、伝熱工学、燃焼工学)、熱交換器、空調機器、冷凍機器、内燃機関、外燃機関、ボイラ、太陽光発電、燃料電池その他の熱・動力エネルギー機器に関する事項

1-5 流体機器
流体工学、流体機械(ポンプ、ブロワー、圧縮機等)、風力発電、水車、油空圧機器その他の流体機器 に関する事項

1-6 加工・生産システム・ 産業機械
加工技術、生産システム、生産設備・産業用ロボット、産業機械、工場計画その他の加工・生産システム・産業機械に関する事項

しっかりとキーワードをチェックすると良いです。適性が無いことに気が付かず、他の専門分野で不合格となる方がいます。恥ずかしいことに、私は3回「材料強度・信頼性(材料力学)」の専門分野で受験して落ちています。「機械設計」の専門分野に切り替えたところ、合格できました。「勉強してみたい分野」ではなく、「今までの経験で回答できる分野」を選んだことが、上手くいった理由だと思います。

機械部門の頻出テーマ

機械部門の頻出テーマは、以下のとおりです。

(1) 情報化
AI、IoTなどデジタル技術の活用

(2) SDGs(持続可能な開発目標)
SDGsの17の目標は他の頻出テーマと密接に関連

(3) 環境問題
脱炭素、3R、小形化、省エネルギー化

(4) 新技術
トポロジー最適化、「モノ」から「コト」への変化

(5) 災害
地震、暴風、豪雨、洪水、津波などの対策

(6) 品質・信頼性
QCD、品質機能展開、ISO 9001(品質マネジメントシステム)

(7) 少子高齢化
AI、IoTなどデジタル技術の活用

(8) 技能伝承・人材育成
暗黙知の活用やVRを使用した現場研修

(9) SCM
サプライチェーンの見える化、需要予測

(10) 国際競争力
ロボットニーズ先進国、ニーズに応えたものづくり

必須科目の出題状況令和元年令和2年令和3年令和4年
(1) 情報化
(2) SDGs
(3) 環境問題
(4) 新技術
(5) 災害
(6) 品質・信頼性
(7) 少子高齢化
(8) 技能伝承・人材育成
(9) SCM
(10) 国際競争力
技術士二次試験機械部門必須科目Ⅰの出題テーマ

これら多くのテーマにどう対応すれば良いでしょうか。

たとえば、全てのテーマで答案を書く方法が思い浮かびます。

しかし、必須科目Ⅰ以外にもⅡⅢと答案を書く必要があり、とても間に合いません

そこで、次章の「どんな出題にも対応できる骨子群」を紹介します。

どんな出題にも対応できる骨子群

筆記試験1ヶ月前になると、添削で高評価を貰えた論文が積み上がってきます。

その論文を骨子ごとにまとめると、他の出題にも対応できることに気が付きました。

たとえば上の図のように、骨子群をまとめます。

出題テーマ1には課題A・解決策C・リスクBで回答、出題テーマ2には課題C・解決策B・リスクAで回答という具合に計画します。

筆記試験の1ヶ月前からは、この骨子群を作成し、あらゆる出題テーマに答える柔軟性を磨くことに注力します。

具体的な勉強ステップ

それでは、具体的な勉強方法を紹介します。

STEP
過去問の答案完成

主観だけではなく、添削や指摘をもらって答案を作成します。

STEP
骨子群の作成

過去問の解答案から、「課題・解決策・リスクと対応策」の章立て部分を抽出し、骨子群を作ります。

STEP
新たなテーマに対する骨子作成

新しい問題を見て、今までの骨子群から回答を作ります。

Step1:過去問の答案完成

最初の工程では、過去問に対して答案を作成します。

答案の作成は、主観だけで作成せず、添削や指摘をもらって完成させます。

完成した答案の「章立て」のみを抽出します。例えば以下のようになります。

出題テーマ:高齢者の安全・安心

課題1(最も重要):エレベータ非常停止時でも安全なブレーキ設計
課題2:公共物件でのエレベータ普及拡大を実現する保守
課題3:利用者の心理的安全を確保する騒音低減

解決策1:PDMを併用したブレーキの多段制動設計
解決策2:タグチメソッドを活用したBK制動力の最適化
解決策3:遠隔診断を利用した制動力検査と予防保全

リスク:コイルギャップに異物混入のリスク
リスクの対策:ゴムパッキンを使用した異物混入防止対策

Step2:骨子群の作成

過去問の解答案から、「課題・解決策・リスクと対応策」を抽出し、骨子群を作成します。

私の場合は、答案の章立て(骨子)をそのまま表にまとめました。

スクロールできます
出題テーマ課題1(最も重要)課題2課題3解決策1解決策2解決策3効果リスクリスクの対策
R4 模試Ⅰ-1高齢者の安全・安心エレベータ非常停止時でも安全なブレーキ設計公共物件でのエレベータ普及拡大を実現する保守利用者の心理的安全を確保する騒音低減PDMを併用したブレーキの多段制動設計タグチメソッドを活用したBK制動力の最適化遠隔診断を利用した制動力検査と予防保全コイルギャップに異物混入のリスクゴムパッキンを使用した異物混入防止対策
R4 模試Ⅲ-2生産を持続的に継続する3Rを活用した部品の循環利用互換性を考慮した製品設計部品寿命を考慮した合理的な部品生産計画遠隔診断技術による中古品の安全利用(リユース)ビッグデータを活用した部品寿命の推定(リデュース)VEを活用した機能集約による部品種類削減ネットワークの障害による遠隔診断不良(リスク)ネットワーク監視と自己診断によるリスク低減(リスク対策)
R4 例題脱炭素(2050年の80%削減)IoTを活用した資源循環の高度化(使用時観点)低CO2排出素材の使用(製作時観点)小形化による運搬時CO2排出削減(移動時観点)物件データ解析による部品交換頻度の低減(リデュース)遠隔故障診断による中古品不具合の防止(リユース)分解性を考慮した機械製品設計(リサイクル)ネットワークの障害による遠隔診断不良(リスク)ネットワーク監視によるリスク低減(リスク対策)
R4 例題サプライチェーン
マネジメント
部品種類を削減した巻上機設計製造のスピード化を実現する自動化製造設備設計部品寿命を考慮した部品交換時期の計画コンカレントエンジニアリングによる種類削減効果の評価PDMによる設計情報の共有バリューエンジニアリング(VE)を利用した部品機能の集約シュー素材で鋳巣発生よる引張疲労破壊(リスク)可動鉄心のヘリを利用したシュー脱落防止(リスク対策)
R4 例題高齢化社会に貢献する製品開発非常停止時の制動ショックを軽減したBK設計足の踏み外しや車いすに配慮したカゴ床段差設計公共物件へのエレベータ普及拡大を実現する遠隔保守PDMを利用したブレーキ落下時間の情報共有と設計タグチメソッドを利用した摩擦係数のばらつき低減スイッチ誤作動による非常停止の未然防止対策ドラムに異物付着によるブレーキトルク低下エンコーダによるカゴ滑り未然防止対策
R3Ⅲ-1自動化された設備を開発する費用対効果を考慮した自動化製造設備設計生産品質管理と異常検知IoT化した設備に対するメンテナンスの必要性データ収集によるネック工程の可視化自動化工程の製品シリーズ化によるロボット数の削減ナレッジマネジメントによるネック工程の改善ドラムに異物付着によるブレーキトルク低下エンコーダによるカゴ滑り未然防止対策
R3Ⅲ-2一部のコンポーネントを外製する開発初期で要求品質(QCD)を考慮した設計購買仕様書の締結による要求仕様の一元管理品質管理と指導(QC工程表と工程監査)コンカレントエンジニアリングの導入品質機能展開(QFD)による外製先の選定デジタルエンジニアリングによる迅速な設計情報の共有接着材破断によるパッド脱落(リスク)シューのヘリを利用したパッド脱落防止対策(リスク対策)
R3Ⅰ-1DXへの取り組み費用対効果を考慮した自動化製造設備設計物件毎のデータを活用した合理的な保守計画顧客ニーズのデータを反映させた巻上機寿命設計データ収集によるネック工程の可視化自動化工程の製品シリーズ化によるロボット数の削減ナレッジマネジメントによるネック工程の改善設備投資費用と製作作業時間が20%程度低下する。クリアランスに異物混入による吸引不良ゴムパッキンを使用した異物混入防止対策
R3Ⅰ-2故障時の社会への影響環境変化、製品バラつきを考慮した安全設計故障時に乗客の利便性を低下させない設計周囲環境(騒音等)への影響を低減する設計品質機能展開(QFD)による要求品質の具体化タグチメソッドを活用したBK制動力設計エンコーダによるカゴ滑り未然防止BKトルク低下発生件数が80%程度低下する。クリアランスに異物混入による吸引不良ゴムパッキンを使用した異物混入防止対策
R2Ⅲ-2設計技術者の育成と信頼性の高い解析の実施要求品質に合わせたQCDを満たすCAE実施計画シミュレーションの実施と妥当性確認(V&V)CAE専任者や他機器設計者との連携解析誤差を低減した材料物性値の確認と数値計算梁モデルでの数値計算確認実測誤差を低減したひずみゲージでの実機検証シュー素材で鋳巣発生よる引張疲労破壊(リスク)可動鉄心のヘリを利用したシュー脱落防止(リスク対策)

表が横に長くなってしまったので、以下のとおり内容を記載します。

出題テーマ:

高齢者の安全・安心
生産を持続的に継続する
脱炭素(2050年の80%削減)
サプライチェーン
マネジメント
高齢化社会に貢献する製品開発
自動化された設備を開発する
一部のコンポーネントを外製する
DXへの取り組み
故障時の社会への影響
設計技術者の育成と信頼性の高い解析の実施

最も重要と考える課題:

エレベータ非常停止時でも安全なブレーキ設計
3Rを活用した部品の循環利用
IoTを活用した資源循環の高度化(使用時観点)
部品種類を削減した巻上機設計
非常停止時の制動ショックを軽減したBK設計
費用対効果を考慮した自動化製造設備設計
開発初期で要求品質(QCD)を考慮した設計
費用対効果を考慮した自動化製造設備設計
環境変化、製品バラつきを考慮した安全設計
要求品質に合わせたQCDを満たすCAE実施計画

その他の課題:

公共物件でのエレベータ普及拡大を実現する保守
互換性を考慮した製品設計
低CO2排出素材の使用(製作時観点)
製造のスピード化を実現する自動化製造設備設計
足の踏み外しや車いすに配慮したカゴ床段差設計
生産品質管理と異常検知
購買仕様書の締結による要求仕様の一元管理
物件毎のデータを活用した合理的な保守計画
故障時に乗客の利便性を低下させない設計
シミュレーションの実施と妥当性確認(V&V)

利用者の心理的安全を確保する騒音低減
部品寿命を考慮した合理的な部品生産計画
小形化による運搬時CO2排出削減(移動時観点)
部品寿命を考慮した部品交換時期の計画
公共物件へのエレベータ普及拡大を実現する遠隔保守
IoT化した設備に対するメンテナンスの必要性
品質管理と指導(QC工程表と工程監査)
顧客ニーズのデータを反映させた巻上機寿命設計
周囲環境(騒音等)への影響を低減する設計
CAE専任者や他機器設計者との連携

解決策:

PDMを併用したブレーキの多段制動設計
遠隔診断技術による中古品の安全利用(リユース)
物件データ解析による部品交換頻度の低減(リデュース)
コンカレントエンジニアリングによる種類削減効果の評価
PDMを利用したブレーキ落下時間の情報共有と設計
データ収集によるネック工程の可視化
コンカレントエンジニアリングの導入
データ収集によるネック工程の可視化
品質機能展開(QFD)による要求品質の具体化
解析誤差を低減した材料物性値の確認と数値計算

タグチメソッドを活用したBK制動力の最適化
ビッグデータを活用した部品寿命の推定(リデュース)
遠隔故障診断による中古品不具合の防止(リユース)
PDMによる設計情報の共有
タグチメソッドを利用した摩擦係数のばらつき低減
自動化工程の製品シリーズ化によるロボット数の削減
品質機能展開(QFD)による外製先の選定
自動化工程の製品シリーズ化によるロボット数の削減
タグチメソッドを活用したBK制動力設計
梁モデルでの数値計算確認

遠隔診断を利用した制動力検査と予防保全
VEを活用した機能集約による部品種類削減
分解性を考慮した機械製品設計(リサイクル)
バリューエンジニアリング(VE)を利用した部品機能の集約
スイッチ誤作動による非常停止の未然防止対策
ナレッジマネジメントによるネック工程の改善
デジタルエンジニアリングによる迅速な設計情報の共有
ナレッジマネジメントによるネック工程の改善
エンコーダによるカゴ滑り未然防止
実測誤差を低減したひずみゲージでの実機検証

リスク:

コイルギャップに異物混入のリスク
ネットワークの障害による遠隔診断不良(リスク)
ネットワークの障害による遠隔診断不良(リスク)
シュー素材で鋳巣発生よる引張疲労破壊(リスク)
ドラムに異物付着によるブレーキトルク低下
ドラムに異物付着によるブレーキトルク低下
接着材破断によるパッド脱落(リスク)
クリアランスに異物混入による吸引不良
クリアランスに異物混入による吸引不良
シュー素材で鋳巣発生よる引張疲労破壊(リスク)

リスクの対応策:

ゴムパッキンを使用した異物混入防止対策
ネットワーク監視と自己診断によるリスク低減(リスク対策)
ネットワーク監視によるリスク低減(リスク対策)
可動鉄心のヘリを利用したシュー脱落防止(リスク対策)
エンコーダによるカゴ滑り未然防止対策
エンコーダによるカゴ滑り未然防止対策
シューのヘリを利用したパッド脱落防止対策(リスク対策)
ゴムパッキンを使用した異物混入防止対策
ゴムパッキンを使用した異物混入防止対策
可動鉄心のヘリを利用したシュー脱落防止(リスク対策)

Step3:新たなテーマに対する骨子流用

令和4年度で筆記試験A判定だった答案を例に説明します。

まずは、設問を読んでテーマを分析します。

必須科目Ⅰ-2のテーマ:3現主義のメリットを活かした生産管理者のテレワーク実現

続いて、自分の引き出しの中にあるテーマで、出題テーマと近いものを探します。

自分の引き出しのテーマ群:
高齢者の安全・安心
生産を持続的に継続する
脱炭素(2050年の80%削減)
サプライチェーン
マネジメント
高齢化社会に貢献する製品開発
自動化された設備を開発する
一部のコンポーネントを外製する
DXへの取り組み
故障時の社会への影響
設計技術者の育成と信頼性の高い解析の実施

このとおり、「自動化された設備を開発する」という近いテーマが見つかりました。

このため、このテーマで作成した骨子を流用して、題意に沿うよう文章を整えれば答案が書けます。

骨子群を作れば様々なテーマに対応できる

様々なテーマに対応できる、骨子群の作成を説明しました。

既にお気付きかもしれませんが、骨子群の完成には、「正確な答案と骨子」を「作り続ける」ことが欠かせません。

私の場合は、3月から6月まで毎週添削を受け、12種類の答案を完成させました。

合計20回ほどの添削となります。

この添削量をこなしても、料金が10万円以下の技術士通信講座が、です。

多くの技術士講座を徹底比較したので、合格に近づきたい方は、次の記事を参照してください。

機械設計受験生のオススメサイト紹介

さいごに、機械設計を受験の方に、現役の技術士が書くブログを紹介します。

しぶちょーさん 技術士(機械部門)
しぶちょー技術研究所(ブログ)
しぶちょーさんのツイッター

2023年5月時点で、ツイッターのフォロワー数が1.5万人いる、驚異的な機械設計者です。

しぶちょーさんの技術コラムは本当に読みやすく、雑誌を読む感覚で機械設計が勉強できます。

しかも読みやすいだけではなく、「技術士」を取得されており、実力を兼ね備えています。

こちらの記事は、受験生に特に参考になると思いますので、ぜひご一読ください。

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