・SDGsって何?技術者にどんな関係がある?
・技術士二次試験でのSDGsはどう答えれば良い?
技術士二次試験の筆記試験では、SDGsに関する設問が頻出されています。
令和元年では、必須科目Ⅰでの出題が中心でしたが、認知の広まりから近年ⅡやⅢでの出題が目立ちます。
どの分野を受験するに当たっても、SDGsと専門分野との結びつけが不可欠でしょう。
技術士二次試験の受験生は、SDGsの過去問を解答し添削を受けることを勧めます。
本記事では、答案作成の援助として、機械部門で令和4年に筆記試験合格した私の回答例を提示します。
論文作成の作法はマネていただいて結構です。内容は、必ずご自身で考えて下さい。
(1) SDGsとは 「持続可能な開発目標」
SDGs(Sustanable Development Goals)は2015年9月の国連サミットで採択されたもので、国連加盟193か国が2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた目標です。
(2) 技術士二次試験でのSDGsはどう答える?
SDGs関連の過去問で、解答を作成しましょう。ものづくり白書が参考になりますが、ご自身の専門技術や製品を深く論述しましょう。
SDGs(Sustanable Development Goals) とは何?
SDGsとは 「持続可能な開発目標」
![](https://takeyuublog.com/wp-content/uploads/2021/04/SDGs-22-main.png)
SDGs(Sustanable Development Goals)は2015年9月の国連サミットで採択されたもので、国連加盟193か国が2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた目標です。
直訳すると、「持続可能な開発目標」です。
![](https://takeyuublog.com/wp-content/uploads/2022/12/SDGs-22-2.png)
1.貧困をなくそう
2.飢餓をゼロに 飢餓に終止符を打ち、食料の安定確保、持続可能な農業を推進する
3.すべての人に健康と福祉を 健康的な生活を確保し、福祉を推進する
![](https://takeyuublog.com/wp-content/uploads/2022/12/SDGs-22-3.png)
4.質の高い教育をみんなに すべての人に公平で質の高い教育を提供する
5.ジェンダー平等を実現しよう 女性と女児のエンパワーメントを図る
6.安全な水とトイレを世界中に
![](https://takeyuublog.com/wp-content/uploads/2022/12/SDGs-22-4.png)
7.エネルギーをみんなに、そしてクリーンに
8.働きがいも経済成長も
9.産業と技術革新の基盤をつくろう 強靭なインフラを整備
![](https://takeyuublog.com/wp-content/uploads/2022/12/SDGs-22-5.png)
10.人や国の不平等をなくそう 国内および国家間の格差を是正する
11.住み続けられるまちづくりを 都市と人間の居住地を包摂的、安全強靭かつ持続可能に
12.つくる責任、つかう責任 持続可能な消費と生産のパターンを確保する
![](https://takeyuublog.com/wp-content/uploads/2022/12/SDGs-22-6.png)
13.気候変動に具体的な対策を
14.海の豊かさを守ろう 海洋と海洋資源を持続可能な開発に向けて保全する
15.陸の豊かさも守ろう 陸上生態系の保護、回復、森林の管理、砂漠化への対処
![](https://takeyuublog.com/wp-content/uploads/2022/12/SDGs-22-7.png)
16.平和と公正をすべての人に すべての人に司法へのアクセスを提供する
17.パートナーシップで目標を達成しよう グローバルパートナーシップを活性化する
SDGs詳細説明
SDGsについては、外務省のホームページに説明が有ります。
令和元年に技術士試験問題として出題されました。
令和3年現在では、テレビ番組でもSDGs特集が組まれる程、認知が広がっています。
持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)とは,2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)別ウィンドウで開くの後継として,2015年9月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された,2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。17のゴール・169のターゲットから構成され,地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。SDGsは発展途上国のみならず,先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり,日本としても積極的に取り組んでいます。
外務省ホームページ:https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/about/index.html
技術士二次試験でのSDGs筆記対策
では、技術士試験対策として、SDGsの目標に対し、どのようなことを考えれば良いでしょうか。
2022年12月現在、SDGsは広く知られており、筆記試験の頻出分野です。
次の手順で、SDGs含め筆記対策を行うと良いでしょう。
まずは受験科目の過去問を見て、キーワードを抽出します。その後、受験する分野に関連が強い白書を読んで、キーワードを理解します。製品を扱う部門なら「ものづくり白書」です。
SDGsのゴール達成のために、各キーワードでは、ご自身の専門分野でどんな問題→課題があるか。その課題と解決策、リスクとリスクの対応策を論述します。必須科目Ⅰと選択科目Ⅲの3枚論文では、まず骨子を作成してから、原稿用紙を埋めます。
必ず技術士に合格した人からフィードバックを受けます。2月から7月まで、毎週1回ずつ添削を受けるのが理想です。すぐに修正し、1~2週に1問ずつ完成させていきます。
10個以上の答案が完成したら、KWと一連の解答例(課題、解決策、リスク、リスクの対応策)を表にまとめます。
参考として、ものづくり白書2020年度版から、SDGsと関連の強いKWを抽出しました。
技術士受ける方で「ものづくり白書」読んでいない方は、一読をオススメします。
第四次産業革命関連
DX推進、フロントローディング(設計力強化)、3Dデータの活用、変種変量への対応
グローバル化関連
AIによる予測・予知、5G等の無線技術活用による工程設計の柔軟化、不確実性の高まり、グローバルサプライチェーン寸断のリスク(下に図解)、柔軟性を備えたサプライチェーンの再構築
ソーシャルビジネス関連
Society 5.0、環境問題をリスク→ビジネスチャンスとする戦略性、生物多様性保全、地域資源の活用
ものづくり人材関連
技能伝承、生産自動化・省力化、ものづくり人材の確保と育成、デジタル技術を活用できる人材育成
技術士試験でSDGsと関連の強いキーワード
第四次産業革命の進展
第四次産業革命の進展は、SDGsの「8.経済成長」「9.技術革新」と密接に関係します。
デジタル技術を使ってこれまでに無いビジネスモデルが誕生しています。
例えばミスミでは、3DCADデータの受取から即時見積回答し、最短1日出荷を実現しています。
DX推進
フロントローディング(設計力強化)による製造作業負荷軽減(下で図解)
3Dデータの活用
変種変量への対応
AIによる予測・予知
5G等の無線技術活用による工程設計の柔軟化
![](https://takeyuublog.com/wp-content/uploads/2021/04/front-loading1.png)
グローバル化の展開と保護主義の高まり
SDGsはそもそも国連193か国で採択されており、世界が一丸となって推進する事が肝要です。
グローバル化は年々浸透しています。
しかし一方で、米中対立や英国のEU離脱など、保護主義の動きが顕著です。
よって、グローバルなサプライチェーンの在り方について、より一層のリスク管理が求められます。
不確実性の高まり
グローバルサプライチェーン寸断のリスク(下に図解)
柔軟性を備えたサプライチェーンの再構築
![](https://takeyuublog.com/wp-content/uploads/2021/04/supply-chain.png)
ソーシャルビジネスの加速
SDGsを含め、環境問題、社会問題への取り組みが世界的関心事になっています。
地球温暖化対策など、リスクをビジネスチャンスに変える戦略性が問われます。(メモ内に事例を紹介します)
ダイキンは中国企業と共同で中国政府に働きかけ、2010年にエアコンの省エネ基準に引き上げに成功しました。中国市場で省エネという得意分野で戦う事に成功した一例です。
Society 5.0
環境問題をリスク→ビジネスチャンスとする戦略性
生物多様性保全
地域資源の活用
ものづくり人材の確保と育成
SDGsを実践するに当たり、日本は少子高齢社会のため、ものづくり人材の確保が課題です。
日本の製造業では、「製品の品質」「現場の課題発見力・問題解決力」は優位。
「商品企画力・マーケティング力」「生産自動化・省力化」は劣位の認識との事です。
この劣位を攻略する鍵となるのが、「デジタル技術の人材育成」です。(以下図解)
技能伝承
生産自動化・省力化
ものづくり人材の確保と育成
デジタル技術を活用できる人材育成
![](https://takeyuublog.com/wp-content/uploads/2021/04/key-ginou1.png)
機械部門の必須科目Ⅰの解答例
持続可能な社会実現に近年多くの関心が寄せられている。例えば、2015年に開催された国連サミットにおいては、2030年までの国際目標SDGs(持続可能な開発目標)が提唱されている。このような社会の状況を考慮して、以下の問いに答えよ。
(1)持続可能な社会実現のための機械機器・装置のものづくりに向けて、あなたの専門分野だけでなく機械技術全体を総括する立場で、多面的な観点から複数の課題を抽出し分析せよ。
(2)その中で最も重要な課題を1つ挙げ、複数の解決策を示せ。
(3)解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対策を述べよ。
(4)業務遂行において必要な要件を技術者倫理の観点から述べよ。
答案用紙3枚分の回答をそのまま記載します。
コピペ可能なので、ご自身で引用等にご使用ください。
※少し古い答案です。これを本番に出してもA判定は得られないでしょう。理由は以下2点。
・技術士試験は毎年難易度が上がる
・自分の専門性が伝わらないと評価されない
私の答案は参考程度とし、ご自身で記述ください。
(1)持続可能な社会実現するための現状と課題
①高齢化に伴う労働人口の減少
我が国の労働人口は、出生率の低下と、高齢化の進行により、急速に減少する見込みである。2000年で6700万人、2020年で6400万人、2040年で5200万人を見込んでいる。
②グローバル化の展開と不確実性、保護主義の高まり
グローバル化は年々浸透。その一方で、米中対立、英国のEU離脱などの保護主義の動きが顕著である。グローバルなサプライチェーンの在り方について、より一層のリスク管理が求められる。
③第四次産業革命の進展
あらゆる産業において新たなデジタル技術を使ってこれまでにないビジネスモデルが誕生している。製造業も、IoTを活用した新サービス展開や業種間連携により、シェアリングエコノミーをはじめとする産業構造の抜本的変化に対応することが求められる。
④ソーシャルビジネスの加速
環境対策、社会問題への取組が世界的関心事になっている。ビジネス上のリスクは機会として投資家も関心している。海洋プラスチックごみ問題、地球温暖化対策などの世界的課題をリスクやコストではなく、ビジネスチャンスとしていく戦略性が求められる。
(2)最も重要と考える「第四次産業革命への対応」
(2)-1最も重要とした選定理由
産業構造への変革により、人手不足や環境対策など他課題にも柔軟に対応可能となるため。
①スマホ等ユビキタス端末との親和的な連動
・コロナ対策として非接触のエレベータ操作をスマホアプリで実現
・宿泊施設の掃除ロボット連携による清掃無人化
・立体駐車場の車自動運転と荷物エレベータの連動による無人パーキング化
・オフィスビル等、毎日使うエレベータにスマホで行先階を登録しておき、自動インプットする。入力するよりも一歩早く行先階を登録可能。登録情報から、用途の多い階近くに自動停車させる事で、混雑を緩和可能である。
②業務のIoT化による効率向上
・設計データの3D化による3Dプリンタ活用、構造解析
・新設、保守、モダに連動による、エレベータ生涯収益コスト算出、製造困難部品の洗平、機種統合戦略、モジュール設計化
③運行データ活用による不具合未然防止、品質向上
・非破壊検査による部品寿命予測と、予防保全的な部品交換時期決定
・起動回数や昇降行程に応じた部品ごとの寿命推定と計画的な交換スケジュール決定
(3)解決策に共通して新たに生じうるリスクと対策
①顧客情報流出のリスク
対策:PCのデータは端末本体のディスクに保存することを禁止し、一括管理したネットワーク上のサーバに保存する。並行して、情報リテラシーの社員教育を継続的に実施する。半年に一回テスト方式でWEB回答させ、合格するまでWEB教育を実施する。
②自動化した業務の社内ノウハウ空洞化
対策:業務区切りごとに、ノウハウの資料化をトップダウンで指示する。資料化完了をもって、その業務を完了したものと位置付け、人事評価に反映させる。
③自動監視の漏れによる不具合発生
不具合に対する監視項目(人間が項目化し、PCに数値評価させる)は、人間が予め決めた範囲に留まる。
対策:完全に無人化する前に、人での点検頻度を減らす程度として自動監視を取り入れる。
(4)業務遂行において、技術者倫理、社会の持続可能性から必要な要件
・時代の変化に応じ、公衆の安全、健康及び福利を最優先に考慮する
・社会、文化、及び環境に対する影響を予見し、地球環境の保全に努める
・関係法令等の制度が求めている事項を遵守する
・時代とともに変化する技術、法令を理解し、PDCAを繰り返し行い、継続的に資質向上を図る。
以上
まとめ
(1) SDGsとは 「持続可能な開発目標」
SDGs(Sustanable Development Goals)は2015年9月の国連サミットで採択されたもので、国連加盟193か国が2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた目標です。
(2) 技術士二次試験でのSDGsはどう答える?
SDGs関連の過去問で、解答を作成しましょう。ものづくり白書が参考になりますが、ご自身の専門技術や製品を深く論述しましょう。
本記事を読んで、技術士試験や、技術士資格に興味を持ってもらえたら嬉しいです。
私は、技術士試験勉強をキッカケに、仕事力UPや視野の広がりを実感しています。
技術士を目指したおかげで、今では毎日定時帰りをしながら、年間300万円以上金融資産を増やしています。
特に家族と過ごす時間が増え、家族仲が良くなったと実感しています。
その背景から、当ブログでは「技術士を目指す事で」「時間とお金の自由を増やす」をテーマとしています。
皆さんが技術士という資格に興味を持った理由も、時間とお金の自由を増やしたいことが根底にあるかもしれません。
以前Twitterで技術士受験者の正直な志望動機を聞いたところ、半数以上の方が「時間とお金の自由」を第1の動機としていました。
もちろん、実際の技術士口頭試験で、「時間とお金の自由を手に入れたい」言ったら確実に不合格です。
とは言っても、人間というものは本能に逆らえないもので、聞こえが良い動機を考えるより、自分の欲望に向き合った方が実は頑張れるのです。
だから、敢えて私は「教科書に書いてある動機」ではなく、「本能の動機」にこだわります。
そのため、当ブログを読んでいただいた方が、今より時間とお金に自由になれるよう情報発信を続けて参ります。
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それでは、皆様の技術士試験、並びに技術者生活に良き事がありますように。
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公共の安全、環境の良化に貢献しながら、時間とお金の自由を手に入れましょう!
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