米国技術士一次試験(FE)の概要と科目の紹介

こんな人に読んで欲しい

米国技術士の一次試験(FE)に興味があるが、どんな科目があるか知りたい

合格率や出題分野を把握してからFEの受験科目を決めたい

米国技術士(P.E.)という資格をご存知でしょうか?

日本にも技術士という資格がありますが、より世界で広く認知されるエンジニア資格に米国PEがあります。

米国PE資格の効果は絶大だが、合格率は約60%と高く、勉強すれば合格できる。

そのため、米国PEに興味を持ち、一次試験であるFE(科目はMechanical)を受験し合格しました。

本記事では、米国技術士一次試験(FE)の概要と科目の紹介をします。

目次

米国PE、FE試験の概要

米国FE試験とは、米国技術士(PE)の一次試験です。

米国PE資格の特徴は、業務独占資格であり、世界中に広く認知されている点です。

※業務独占資格とは、資格保有者でなければ行えない業務があることを意味します。

日本米国
資格名称技術士PE
資格付与機関文部科学省州PE評議会
資格登録者総数約9万人約82万人
年間受験者数約3万人約3万人
合格率約13%約60%
平均合格年齢42歳26歳
資格要件一次試験合格+経験年数一次試験(FE)合格
試験方法筆記+口頭試験択一式
資格の活用度建設などは準独占業務独占
社会の認知度低い世界的に認知される
米国技術士(PE)の特徴
日本米国
資格名称技術士PE
資格付与機関文部科学省州PE評議会
資格登録者総数約9万人約82万人
年間受験者数約3万人約3万人
合格率約13%約60%
平均合格年齢42歳26歳
資格要件一次試験合格+経験年数一次試験(FE)合格
試験方法筆記+口頭試験択一式
資格の活用度建設などは準独占業務独占
社会の認知度低い世界的に認知される
米国技術士(PE)の特徴

P.E.(Professional Engineer)は、米国の各州が州ごとに設けているエンジニアの公的資格で 「公共の安全・健康・福祉に奉仕する」ために、責任のある立場でエンジニアとして活動する者に要求される資格です。P.E.には技術倫理が厳しく要求されます。 又、PE資格維持のために、継続専門教育(CPD)をベースにした2年毎の資格更新制度が州ごとに決められています。日本ではPE試験(The Principles and Practice of Engineering exam)の一次試験であるFE試験(The Fundamentals of Engineering exam)が1994年より国内で受験できるようになり、2007年10月からPE試験が開始されました。

日本PE・FE試験協議会( JPEC )から引用

米国での機器認定試験には、米国技術士の関与が法律で義務付けられている場合があります。

例えばエレベータの認定試験では、米国技術士の関与が必須となっています。

米国PE資格の効果は絶大だが、合格率は約60%と高く、勉強すれば合格できる。

「技術士」と聞いて、とても難易度の高い試験だ…、さらに英語での試験なんて絶対ムリ…!

こう感じるかもしれませんが、高難易度なのは、日本の技術士試験です。

日本の技術士試験は、最も権威のある技術者資格であり、合格率は13%と超難関です。

しかし米国技術士は、合格者の平均年齢が26歳と若く、合格率も60%程度と標準的です。

合格率が高い一方、年収の高いアメリカで業務独占資格を取得できるのは魅力的だと思います。

FE試験の形式

米国FE試験は、東京と大阪でのテストセンターで受験でき、110問を5時間20分で解答します。

項目内容
試験場所テストセンター
ピアソンプロフェッショナル
(東京、大阪のみ)
出題形式4肢択一(一部例外あり)
問題数110問
試験時間5時間20分
休憩を1回のみ25分まで可能
休憩中は試験時間を消化しない
言語英語のみ
試験の特徴ハンドブックと関数電卓を使い
主に計算問題を解く
米国FE試験の特徴

FE試験の最大の特徴は、公式やグラフが書かれたハンドブックを使いながら、技術的な問題を解く点です。

ハンドブックは500ページほどのボリュームがあり、全て英語で記入されています。

試験中は翻訳ソフトなどの使用ができません。

そのため、FE試験の肝は、ハンドブックを上手く検索して必要な公式を特定するところです。

FE試験の合格率

FE試験の世界全体の合格率は60%

FE試験の世界全体の合格率は、科目によってバラツキがありますが、平均60%程度です。

科目受験者数合格率
Chemical30469%
Civil354055%
Electrical and Computer73264%
Environmental39664%
Industrial and Systems8851%
Mechanical202965%
Other Disciplines40455%
米国FEの科目別合格率

米国FE試験の受験者は、CivilとMechanicalが多いです。

FE試験の日本人の合格率は約70%

米国FE試験の日本人合格率は高く、約70%程度です。

西暦受験者数合格者数合格率
2022年1107870.9%
2021年1218469.4%
2020年867182.6%
2019年1147162.3%
2018年1017069.3%
2017年14810268.9%
2016年17913273.7%
2015年1138474.3%
2014年645382.8%
米国FE試験の日本人合格率

科目別の出題内容

米国FE試験で受験できる科目を全て確認してみましょう。

米国FE試験は、Chemical、Civil、Electrical and Computer、Environmental、Industrial and Systems、Mechanical、Other Disciplinesの7科目から1つを選びます。

Chemical(化学)、Civil(土木)、Electrical and Computer(電気情報)、Environmental(環境)、Industrial and Systems(産業システム)、Mechanical(機械)これら6科目は分かりやすい。

Other Disciplines(その他の分野)というのは、Engineer(工学)だが上記6科目以外ということです。経営工学や物理工学専攻者がOther Disciplinesに当たりそうです。

それでは、FE試験で受験できる科目を実際に見ていきましょう。

全科目で出題される内容

まずは、FE試験のどの科目でも出題される科目を確認してみます。

英語日本語標準出題数
Mathematics数学7
Probability and Statistics確率・統計5
Economics経営工学5
Ethics and Professional Practice倫理と職業実践4

このとおり、米国FE試験では「数学」「確率・統計」「経営工学」「倫理と職業実践」が必ず出題されます。

全110問のうち、これら4科目は20〜25題出題されるイメージです。

残りの75〜80問は、受験科目ごとに異なりますが、次の特徴があります。

FE試験で問われる専門レベルは半分が高校レベル半分が大学レベル程度

つまり、高校の数学・物理・化学を理解していれば、半分は対応できると思えました。

Chemical

  1. Mathematics 6–9
  2. Probability and Statistics 4–6
  3. Engineering Sciences 4–6
  4. Materials Science 4–6
  5. Chemistry and Biology 7–11
  6. Fluid Mechanics/Dynamics 8–12
  7. Thermodynamics 8–12
  8. Material/Energy Balances 10–15
  9. Heat Transfer 8–12
  10. Mass Transfer and Separation 8–12
  11. Solids Handling 3–5
  12. Chemical Reaction Engineering 7–11
  13. Economics 4–6
  14. Process Design 7–11
  15. Process Control 4–6
  16. Safety, Health, and Environment 5–8
  17. Ethics and Professional Practice 3–5
  1. 数学 6–9
  2. 確率と統計 4–6
  3. 基礎工学 4–6
  4. 材料科学 4–6
  5. 化学と生物学 7–11
  6. 流体力学/力学 8–12
  7. 熱力学 8–12
  8. 物質とエネルギーのバランス 10 ~ 15
  9. 熱伝達 8–12
  10. 物質移動と分離 8–12
  11. 固形物の取り扱い 3–5
  12. 化学反応工学 7-11
  13. 経営工学 4–6
  14. プロセス設計 7–11
  15. プロセス制御 4 ~ 6
  16. 安全、健康、環境 5–8
  17. 倫理と職業実践 3–5

Civil

  1. Mathematics and Statistics 8–12
  2. Ethics and Professional Practice 4–6
  3. Engineering Economics 5–8
  4. Statics 8–12
  5. Dynamics 4–6
  6. Mechanics of Materials 7–11
  7. Materials 5–8
  8. Fluid Mechanics 6–9
  9. Surveying 6–9
  10. Water Resources and Environmental Engineering 10–15
  11. Structural Engineering 10–15
  12. Geotechnical Engineering 10–15
  13. Transportation Engineering 9–14
  14. Construction Engineering 8–12
  1. 数学と統計 8–12
  2. 倫理と職業実践 4–6
  3. 経営工学 5–8
  4. 静力学 8–12
  5. 動力学 4 ~ 6
  6. 材料力学 7-11
  7. 材料 5~8
  8. 流体力学 6–9
  9. 測量 6 ~ 9
  10. 水資源と環境工学 10–15
  11. 構造工学 10–15
  12. 地盤工学 10–15
  13. 輸送工学 9–14
  14. 建設工学 8–12

Electrical and Computer

  1. Mathematics 11–17
  2. Probability and Statistics 4–6
  3. Ethics and Professional Practice 4–6
  4. Engineering Economics 5–8
  5. Properties of Electrical Materials 4–6
  6. Circuit Analysis (DC and AC Steady State) 11–17
  7. Linear Systems 5–8
  8. Signal Processing 5–8
  9. Electronics 7–11
  10. Power Systems 8–12
  11. Electromagnetics 4–6
  12. Control Systems 6–9
  13. Communications 5–8
  14. Computer Networks 4–6
  15. Digital Systems 8–12
  16. Computer Systems 5–8
  17. Software Engineering 4–6
  1. 数学 11–17
  2. 確率と統計 4–6
  3. 倫理と職業実践 4–6
  4. 経営工学 5–8
  5. 電気材料の性質 4-6
  6. 回路解析 (DC および AC 定常状態) 11–17
  7. 線形システム 5 ~ 8
  8. 信号処理 5–8
  9. エレクトロニクス 7–11
  10. パワーシステム 8–12
  11. 電磁気学 4–6
  12. 制御システム 6 ~ 9
  13. コミュニケーション 5–8
  14. コンピュータ ネットワーク 4–6
  15. デジタル システム 8–12
  16. コンピュータ システム 5–8
  17. ソフトウェアエンジニアリング 4–6

Industrial and Systems

  1. Mathematics 5–8
  2. Probability and Statistics 4–6
  3. Ethics and Professional Practice 5–8
  4. Engineering Economics 5–8
  5. Fundamental Principles 7–11
  6. Environmental Chemistry 7–11
  7. Health Hazards and Risk Assessment 4–6
  8. Fluid Mechanics and Hydraulics 12–18
  9. Thermodynamics 3–5
  10. Surface Water Resources and Hydrology 9–14
  11. Groundwater, Soils, and Sediments 8–12
  12. Water and Wastewater 12–18
  13. Air Quality and Control 8–12
  14. Solid and Hazardous Waste 7–11
  15. Energy and Environment 4–6
  1. 数学 5 ~ 8
  2. 確率と統計 4–6
  3. 倫理と職業実践 5–8
  4. 経営工学 5–8
  5. 基本原則 7–11
  6. 環境化学 7–11
  7. 健康被害とリスク評価 4–6
  8. 流体力学および油圧学 12–18
  9. 熱力学 3–5
  10. 地表水資源と水文学 9–14
  11. 地下水、土壌、堆積物 8–12
  12. 上下水 12–18
  13. 大気の質と制御 8–12
  14. 固形廃棄物および有害廃棄物 7–11
  15. エネルギーと環境 4–6

Mechanical

  1. Mathematics 6–9
  2. Probability and Statistics 4–6
  3. Ethics and Professional Practice 4–6
  4. Engineering Economics 4–6
  5. Electricity and Magnetism 5–8
  6. Statics 9–14
  7. Dynamics, Kinematics, and Vibrations 10–15
  8. Mechanics of Materials 9–14
  9. Material Properties and Processing 7–11
  10. Fluid Mechanics 10–15
  11. Thermodynamics 10–15
  12. Heat Transfer 7–11
  13. Measurements, Instrumentation, and Controls 5–8
  14. Mechanical Design and Analysis 10–15

数学 6–9
確率と統計 4–6
倫理と職業実践 4–6
経営工学 4–6
電気と磁気 5–8
静力学 9–14
力学、運動学、振動 10–15
材料力学 9-14
材料特性と加工 7–11
流体力学 10–15
熱力学 10–15
熱伝達 7–11
測定、計装、および制御 5 ~ 8
機械設計と解析 10–15

Other Disciplines

  1. Mathematics 8–12
  2. Probability and Statistics 6–9
  3. Chemistry 5–8
  4. Instrumentation and Controls 4–6
  5. Engineering Ethics and Societal Impacts 5–8
  6. Safety, Health, and Environment 6–9
  7. Engineering Economics 6–9
  8. Statics 9–14
  9. Dynamics 9–14
  10. Strength of Materials 9–14
  11. Materials 6–9
  12. Fluid Mechanics 12–18
  13. Basic Electrical Engineering 6–9
  14. Thermodynamics and Heat Transfer 9–14
  1. 数学 8–12
  2. 確率と統計 6–9
  3. 化学 5–8
  4. 計装と制御 4 ~ 6
  5. エンジニアリング倫理と社会的影響 5–8
  6. 安全、健康、環境 6–9
  7. 経営工学 6–9
  8. 静力学 9–14
  9. 動力学 9–14
  10. 材料の強度 9-14
  11. 資料6~9
  12. 流体力学 12–18
  13. 基本的な電気工学 6–9
  14. 熱力学と熱伝達 9–14

まとめ

結論

米国PE資格の効果は絶大だが、合格率は約60%と高く、勉強すれば合格できる。

米国FE試験は、5時間20分で110問の計算問題を解く、やや過酷な試験。

FE試験の特徴は、公開されたハンドブックを参照しながら関数電卓を使って計算問題を解くということ。

米国FE試験は、Chemical、Civil、Electrical and Computer、Environmental、Industrial and Systems、Mechanical、Other Disciplinesの7科目から1つを選ぶ。

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