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経済産業省発行のものづくり白書を解説 2020年度版 技術士試験受験者のみならず製造業に携わる人へ

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本記事では、経済産業省が毎年発行している「ものづくり白書」を解説します。

ものづくり白書って何?

どんな事が書いてあるの?

2020年度版には何が書いてあるの?

そんな悩みに答えます。

こんな人に読んで欲しい

・製造業で技術者として働いている方

・技術士試験を受ける予定の方

・日本の製造業の動向を早く察知したい方

この記事を書いた人

>技術士一次 機械/電気で合格
>技術士二次 機械部門で合格
>技術士講座で試した講座は6社
>記事コンテストで銅賞獲得

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目次

ものづくり白書とは

発行元 :経済産業省(厚生労働省、文部科学省も共同)
発行頻度:平成11年度から、一年に一回更新
内容  :ものづくり基盤技術の現状と課題、施策
様式  :概要(パワポ形式)と全体版(論文形式)

ものづくり白書とは、経済産業省が政策として毎年発行している文書です。

厚生労働省と文部科学省も共同で発行しています。

経済産業省の公式HPから、どなたでも無料で入手できます。

参考のため、2020年度版の「概要版」にて1ページを掲載します。

経済産業省、ものづくり白書、2020年度版抜粋

「概要版」で、このような文書が約50ページあります。

「正式版」は、約300ページあります。

読むハードルが少し高いので、本サイトにて概要を説明します。

2020年度版を、物凄く圧縮して柔らかくお伝えします。

ものづくり白書を読むメリット

ものづくり白書を読むメリットを箇条書きにしました。

国の政策を早く正確に知れる
会社方針を先取りできるかも
数年後の世論を先取りできるかも
技術士試験の問題予測に役立つ

ものづくり白書2020年度版の解説

概要版の要旨解説

TAKE.TECH

背景:不確実性の高まる世界
対応:企業変革力を高める
手段:デジタル化による設計力強化

近年はコロナウイルスを始めとして、未来が不確かなものになっています。

そのため、グローバルな繋がりよりも、自国内を守ろうとする傾向が高まっています。

だから、世界中から材料を調達する日本のものづくり企業は、苦境に立たされています。

その不確かな世の中に対応するため、自らを変革できる企業が生き残ります。

この変革に対応するキモとなるのは「デジタル化」です。

特に5GやAIなどのデジタル技術の進歩は目覚ましく、デジタル化は生産性向上を生みます。

デジタル化の良い事例を紹介しつつ、デジタル化の動向を解説しています。

キーワード抽出

ものづくり白書2020年度版のキーワードを拾っていきます。

①不確実性の高まる世界
②企業変革力の強化
③デジタル化 a)設計力強化
④デジタル化 b)5G等の無線技術活用
⑤人材確保と育成、技能伝承

これらのキーワードに対し、一つずつ解説します。

不確実性の高まる世界

世界で不確実性が高まっている
サプライチェーン寸断のリスクが浮上
柔軟性を備えたサプライチェーンの再構築が必要

英国EU離脱、米国大統領選挙、米中貿易摩擦の激化により、不確実性が高まっています。

引用元:ものづくり白書2020年度版

一方、日本の製造業では、サプライチェーンの再編を繰り返してきました。

1980年代半ば以降、グローバルサプライチェーンを形成してきました。

しかし、不確実性の高まりにより、グローバルサプライチェーン寸断のリスクが浮上。

効率性だけでなく、経済安保の観点を含め、柔軟性を備えたサプライチェーン再構築が必要です。

1980年代前半以前は、国内完結型
1980年代後半~近代は、製造工程がグローバル化
現代は、効率性、経済安保、柔軟性を重視

企業変革力(ダイナミック・ケイパビリティ)の強化

ダイナミック・ケイパビリティに必要な3つの能力
「感知」「補足」「変容」
これらを高めるために、デジタル化が有効

不確実性の高い世界では、環境変化に対応する事が必要です。

組織内外のリソースを上手く配分し、時に再構成も必要でしょう。

これが出来るのは、組織の経営者です。

このような組織の能力をダイナミック・ケイパビリティと呼びます。

ダイナミック・ケイパビリティには、3つの必要な能力が有ります。

  • 脅威・機会の感知
  • 機会を捕捉し、リソースを再構築する事で競争優位性を獲得
  • 競争優位性を持続するために、組織全体を変容

ではどうしたら、これらの能力を高められるか。

答えは「デジタル化(DX推進)」に有ります。

良好事例として、富士フイルムが有ります。

写真用フイルムから、デジタルカメラへ開発の舵を切りました。その後も化粧品、医薬品、再生医療などに参入し、現在はヘルスケアが同社の主力商品です。

・変化に素早く対応する
・変化を予測し先手を打つ
・自ら変化を作り出す

これらを実践し、高いダイナミック・ケイパビリティを実現しています。

デジタル化 a)設計力強化

デジタル・トランスフォーメーション(DX)の推進

・データの収集、連携
AIによる予測、予知
3D設計やシミュレーションによる製品開発の高速化
・変種変量、柔軟な工程変更

a)設計力強化
b)製造現場における5G等の無線技術活用

まず、デジタル化が必要と言われて久しいですが、企業での対応は遅れています。

引用元:ものづくり白書2020年度版

ではなぜ進んでいないか?白書では以下のように分析しています。

【デジタル化が企業で進んでいない理由】
平時の効率性を重視 → 旧来の基幹システム更新や保守に向かう
不足の事態での柔軟性を重視 → 変革に向かう

さて、デジタル化の進展に伴い、設計力強化がキーワードとなりました。

鉄は熱いうちに打て。

製品も仕様が決まる前に、設計力の強化から品質強化を図るのが有効です。

引用元:ものづくり白書2020年度版
引用元:ものづくり白書2020年度版

この設計力強化を進めるためには、データ活用3Dデータでの設計が重要です。

例えば、3Dデータを送付すると、自動で見積り回答が得られるサービス。

そのような設計ー製造ーサービスの連携が重要です。

しかし3D設計は普及しておらず、2D図面が中心です。

その理由として、以下が挙げられています。

3D設計が普及しない理由・・・
・主な設計手法が依然2Dである
・調達部門が見積りのために図面を必要とする
・図面が、発注内容と現物を照合する現品票を兼ねる

技術士を受験予定の方は、こうした課題をいかに解決するか考えると良いでしょう。

【解決案】
デジタル人材の積極的な確保、育成
トップダウンでのデジタル化推進
・デジタル化推進用プロジェクトにて、キーパーソンを教育後、各部門に配置。キーパーソンにより各部門でデジタル化を推進しつつ、OJTを行う。

デジタル化 b)5G等の無線技術活用

5G等の無線技術により、以下実施し、技能者不足に対応する。
・工程設計の柔軟化
・遠隔からのリアルタイムでの指示を支援
しかし依然として「コスト」「セキュリティ」「通信の信頼性」に課題あり。

今や、一般ユーザーでも5G規格での通信が行える時代となりました。

5Gは超低遅延で、4G規格の20倍程度の速度で通信可能。

製造業では、以下の革新が期待されます。
配線レスAGV(無人搬送車)による工場レイアウトフリー化
・ロボットの遠隔ティーチング遠隔制御保守点検による技能者不足への対応

引用元:ものづくり白書2020年度版

しかし、実際は次世代通信技術を導入していない企業が多いようです。

それはなぜか。

依然として「コスト」「セキュリティ」「通信の信頼性」に課題を感じているからです。

引用元:ものづくり白書2020年度版

技術士を受験予定の方は、こうした課題をいかに解決するか考えておきましょう。

【解決策案】
・セキュリティのe-learningを年一回全社員に行う
・データは各PCのローカルに保存せず、会社管理のネットワークサーバで一括管理する
・デジタル人材を積極的に確保、育成する

人材確保と育成、技能伝承

日本の労働力人口が減少し、「量」の面で不足している。ICTなどデジタル技術を組み込んだ設備を利用する知識が必要。デジタル化に対する姿勢として、作業のマニュアル化社外教育が差別化ポイント

デジタル化に必要なIT人材は、「量」の面で特に不足しています。

高度な数学力を持つ人材の活躍機会の拡大が見込まれています。

引用元:ものづくり白書2020年度版

では、デジタル人材確保に当たり、どのような取組が成果に繋がっているか。

まず人材確保のキーパーソンは?

DX推進に当たり、先導的な役割を果たした社員は、経営トップと回答した企業が多いです。

引用元:ものづくり白書2020年度版

続いて、人材確保の方法は?
・自社の既存の人材をOJTで育成する
・自社の既存の人材をOFF-JTで育成する

と回答した企業が多いです。

引用元:ものづくり白書2020年度版

では、そのような取組をした結果、業務効率は改善されたか

デジタル技術を活用している企業は、活用していない企業に比べて労働生産性が向上する傾向が有ります。

引用元:ものづくり白書2020年度版

そして、人材の配置や異動における変化はどうなったか?

そのままの人員配置で、業務効率が上がったり、成果が拡大した。の回答が優勢です。

引用元:ものづくり白書2020年度版

最後に、人材育成・能力開発の取組についてです。

デジタル技術を活用している企業は、以下を重視する傾向が有ります。

【 デジタル技術を活用している企業が重視している項目】
作業のマニュアル化により効率化を進める
OJTのみならず、OFF-JT自己啓発支援など、職場を離れた訓練も進めている

引用元:ものづくり白書2020年度版

つまりデジタル化に対する姿勢として、作業のマニュアル化社外教育が差別化ポイントと言えます。

まとめ

ものづくり白書とは、ものづくりの課題に対し、経済産業省が年一回発行する文書。

ものづくり白書2020年度版のキーワード

①不確実性の高まる世界

②企業変革力の強化

③デジタル化 a)設計力強化

④デジタル化 b)5G等の無線技術活用

⑤人材確保と育成、技能伝承

本記事を読んで、技術士試験や、技術士資格に興味を持ってもらえたら嬉しいです。

私は、技術士試験勉強をキッカケに、仕事力UPや視野の広がりを実感しています。

技術士を目指したおかげで、今では毎日定時帰りをしながら、年間300万円以上金融資産を増やしています。

特に家族と過ごす時間が増え、家族仲が良くなったと実感しています。

その背景から、当ブログでは「技術士を目指す事で」「時間とお金の自由を増やす」をテーマとしています。

皆さんが技術士という資格に興味を持った理由も、時間とお金の自由を増やしたいことが根底にあるかもしれません。

以前Twitterで技術士受験者の正直な志望動機を聞いたところ、半数以上の方が「時間とお金の自由」を第1の動機としていました。

もちろん、実際の技術士口頭試験で、「時間とお金の自由を手に入れたい」言ったら確実に不合格です。

とは言っても、人間というものは本能に逆らえないもので、聞こえが良い動機を考えるより、自分の欲望に向き合った方が実は頑張れるのです。

だから、敢えて私は「教科書に書いてある動機」ではなく、「本能の動機」にこだわります。

そのため、当ブログを読んでいただいた方が、今より時間とお金に自由になれるよう情報発信を続けて参ります。

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それでは、皆様の技術士試験、並びに技術者生活に良き事がありますように。

公共の安全、環境の良化に貢献しながら、時間とお金の自由を手に入れましょう!

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