リーダー経験者は、予算通りに成果を出すことが、いかに難しいか知っているでしょう。
現場では「え、そんな費用が発生するの、聞いていない!」そんな声も聞こえる予算のマネジメント」
予算のマネジメントに関し、次の用語をざっくばらんに説明します。
分かりやすさ重視で、実際の試験用語として厳密に参照されたい場合は、PMPOKや参考書をご確認ください。

トップダウン見積り
今回はプロジェクト計画の初期によく使われる「トップダウン見積り(Top-Down Estimating)」について、わかりやすく解説します。
トップダウン見積りとは?
「全体をざっくり見てから、細かい部分に見積もりを割り振っていく方法」です。
「ケーキ1ホールは3,000円だから、1切れは大体300円でしょ」みたいな感覚。
特徴まとめ
特徴 | 内容 |
---|---|
大まか | 詳細な作業内容が決まる前でも使える |
早い | パパと全体像をつかめる |
上層部が大好き | まずは「とりあえず全体コストが欲しい」から! |
どんな時に使う?
- プロジェクト開始初期(WBSはまだ無い)
- 類似プロジェクトの経験がある
- 「社長が『大体いくら?』って聞いてきた」時
例:お弁当の価格を決めるとき
- 次の「焼き鮭弁当」は500円だった
- 今年のはちょっと具が豪華→550円くらい?
- 各おかずは応じて大体割り当て
=これが「トップダウン見積もり」です!
メリットとデメリット
メリット | デメリット |
---|---|
短時間で概略できる | 精度が低い場合がある |
経験ベースで現実的なことも多い | チームにとって根拠が不明瞭なことも |
経営判断には便利 | 詳細計画には向かない |
他の見積もり法との比較
種類 | 内容 | たとえ話 |
---|---|---|
トップダウン | 全体から細部へ | ケーキ1ホールを先に決める |
ボトムアップ | 細部から全体へ | 1秒ずつ値段出して合計する |
類推見積り | 過去の類似プロジェクトからの推定 | 「去年もこんな感じだったし」 |
パラメトリック | 数式や係数で推定 | 「敷地×敷地=工事費」 |
- 社長「これ全部でいくらかかる?」
PM「…うーん、去年と似てるし、3,000万くらいっす」
社長「わかった、それでいこう」
チーム「えっ!? それ、誰が見積ったんすか!?」
トップダウン見積もりあるですね😅
PMP試験でのポイント
- トップダウン見積もりは「類推見積り(Analogous Estimating)」として分類されることが多い
- 精度よりもスピードと全体感を重視した見積もり法
- 「どの段階で使うか?」や「他の手法との違い」を問う問題が出やすい
項目 | 内容 |
---|---|
手法名 | トップダウン見積り(類推見積り) |
使う時間 | プロジェクト初期 |
ポイント | 過去の事例から全体をざっくり見積もる |
注意点 | 精度は低いめ、根拠が問われることも |
不確実性のコーン
プロジェクトの初期における「不確実性のコーン(Cone of Uncertainty)」について、わかりやすく解説します
不確実性のコーンとは?
プロジェクトの初期は予測があいまいで、進むごとに予測精度が上がる、という考え方をコーン(円錐)の形で表したもの。
たとえ話
プロジェクト開始直後はこんな感じ:
「納期?コスト?わからないから…魔法の水晶玉で占うか…」
そして、プロジェクト進むごとに情報が増えて、予測が現実に近づいていきます。
- 初期:「たぶんこれくらい?」としか言えない
- 予想:「まあこれぐらい」
- 終盤:「確実にこれです」
なんで大事?
- 初期の見積りは信用しすぎちゃダメ!
- ステークホルダーに「これは仮見積ですよ〜」と念押しする必要あり
- 計画の段階で「これで確定です!」と言い切ると、その後地獄を見る🔥
カレー作りに例えると…
- 初期(冷蔵庫の前)
→「とりあえず野菜あるし、カレーできる…はず?」 - とりあえず(具材を切ったあと)
→「じゃがいも4個、にんじん2本、ルーもOK、あと20分くらいで完了かな」 - 終盤(煮込み中)
→「あと5分で完了、あとは食べるだけ!」
最初は「わかりません」でも、進むほどゴールが見える
PMP試験での対策
- リスク管理や見積もりの精度の説明で登場
- 「なぜ初期の見積もりは不正確なのか?」→この考えで説明
- 「計画初期は±50%、完了完了で±10%程度の誤差」という具体的な数値が出ることも!
項目 | 内容 |
---|---|
名称 | 不確実性のコーン(Cone of Uncertainty) |
意味 | プロジェクト初期は予測の誤差が大きく、進むごとに精度が高まる |
主な用途 | スケジュール・コスト見積もりの説明、ステークホルダーへの期待管理 |
試験の話し合い所 | 精度の幅・時間経過との関係性・期待値調整の必要性 |
部長:「納期いつ?」
PM:「今はまだ不確実性のコーンの中です!」
部長:「は?アイスの話か?」
PM:「…バニラよりスケジュールの話です。」
3点見積り
今回は見積り系の人気者「3点見積り(Three-Point Estimating)」について、解説します
3点見積りとは?
「楽観・悲観・現実の3パターンを考えて、見積りに「現実味」と「余裕」を持てる手法」です!
- 最適見積もり(Optimistic / O)
→ すべてがうまくいった場合の最短時間(夢と希望が詰まっている) - 最悪見積(悲観的 / P)
→ トラブル全部起きたらこうなる(超地獄も覚悟) - 最小可能見積り(Most Likely / M)
→ 現場感覚で「たぶんこれくらいかな…」な時間
ベータ分布(PERT法)E = (O + 4M + P) ÷ 6
→「現実味のある平均値」を出すための「重み付き」平均です。
例:
- 最も:2日
- 中旬:10日
- 最短:5日
E = (2 + 4×5 + 10) ÷ 6 = 5.33日
📌 最大可能値に4倍の重みをつけてるのがミソ!
例えるなら…お弁当屋さんで
- 楽観的:「配達順調!信号も青!→15分!」
- 最も可能性が高い:「まあ混むし、いつも通り→25分」
- 悲観的:「道が大渋滞&雨!→50分」
→計算して「納期目安30分で出しておこう」とか、そんな感じです!
3点見積りのメリット
3点見積りのメリット | 内容 |
---|---|
リスクを反映できる | 一つの数字に「幅」があるので現実的 |
チームの安心感アップ | 悲観も含めてストレスなプレッシャー減 |
スケジュールとコスト両方に使える | 万能系見積りマン! |
3点見積もりのデメリット
3点見積もりのデメリット | 内容 |
---|---|
考え・最悪を出すのに時間がかかる | 慣れてないと難しい |
主観が入る | 人によって |
現場あるある
上司:「この作業、何日かかる?」
部下:「3点見積りしたら…最短2日、最悪10日、たぶん5日です」
上司:「なら3日かな!」
部下:「それは、楽観的です…神しかできません…🙏」
PMP試験でのポイント
- 「ベータ分布(PERT)(O+4M+P) ÷ 6」と「三角分布(O+M+P) ÷ 3」の違いに注意
- スケジュール見積りまたはコスト見積りに取り組みやすい
- 「なぜ3点見積りを使うのか?」→不確実性への備えと答えよう!
項目 | 内容 |
---|---|
手法 | 3点見積り(三点見積り) |
意図 | 楽観・悲観・現実を織り込んだ現実的見積り |
計算式 | ベータ分布: (O + 4M + P) ÷ 6 |
使用シーン | スケジュール・コスト見積もり、リスク考慮が必要な時 |
コストベースライン
プロジェクトマネジメントの「お財布番長」、コストベースライン(Cost Baseline)について、説明します
コストベースラインとは?
プロジェクトで「このタイミングでこのくらい使う予定!」という、承認された支出計画 のことです。
お金って放っておくとすぐ減ったり減ったり(諦め)するので、
「どこで」「いくら」使うのをとりあえず明確にして、
EVM(Earned Value Management)と比べやすくするします。
構成要素
コストベースラインはこんな風に感じています:
コストベースライン = 各アクティビティの予算の総和
さらに、これにマネジメント予備費(Management Reserve)を加えると、全体の予算になります:
プロジェクト予算 = コストベースライン + マネジメント予備費
※試験ではこの違いがよく聞かれます!
昼ごはんの予算で例えるなら…
- 月曜:のり弁 ¥500
- 火曜:唐揚げ弁当 ¥600
- 水曜:カレー弁当 ¥650
この3日間のお弁当の予算表が「コストベースライン」です!
それでも、「突然うな重が食べたくなるかも」というリスクに備えて財布に余裕をもって入れておくのが「管理予備費」です😋
実務では…
- ガントチャートとセットで「時間×コスト」のカーブ(Sカーブ)にして管理します。
- 実績と比べて「早く終わった!」「予算超過してる!」などを判断できます。
PMP試験で出題ポイント
出題パターン | 内容を確認する |
---|---|
コストベースラインとは? | 承認されたコスト+時間軸。予備費は含まれません。 |
コストベースラインと予算の違い | ベースラインは「使う計画」、予算は「全体のお金」 |
EVM(Earned Value Management)との関係 | コストベースラインとEVとの比較でCV・CPIなどを算出 |
現場あるある・トラウマ
- 「コストベースラインを守るぞ!」と言った直後に仕様変更で予算崩壊💸
- 「この費用は予備費で出しますよね?」と聞かれて困るPM
- 「予算残ってるから豪華にいこう!」→リーダー「ダメです。」
まとめ:コストベースラインとは?
項目 | 内容 |
---|---|
定義 | 時間軸に沿った、承認済みのコスト計画 |
含まれないもの | 管理予備費 |
使い道 | 進捗管理・EVM分析・コストコントロール |
覚え方 | 「使って良かったお金の地図」みたいなもの |
参考情報:Sカーブの図解
こちらが「Sカーブ」の図解です📈
- PV(計画値):丸の点線。「これくらいの支出になる予定」のラインです。
- EV(Earned Value): 四角の実線。「実際に完了した仕事の価値」を示します。
- AC(実費):三角の実線。「実際に使ったお金」です。
これでわかること
- EV < PV → 進捗遅れてる💦
- AC > EV → お金使いすぎてる😱
- EV = PVかつAC ≈ EV → いい感じ!
プロジェクトの予算の要素
プロジェクトマネジメントにおける「予算の構成要素」について、解説します
プロジェクトの予算とは?
「このプロジェクトに、最終的にこれだけのお金を使っていいですよ」と承認された金額のこと!
プロジェクトの予算は主に次のような話し合いで決めます:
プロジェクト予算(Total Project Budget) = コストベースライン(Cost Baseline)+ マネジメント予備費(Management Reserve)
さらに、コストベースライン内の訳は…
コストベースライン = アクティビティコスト(
Activity Cost Estimates)+ワークパッケージ(Work Pachages)+コントロールアカウント(Control Accounts)+ コンティンジェンシー予備費(Contingency Reserve)
それぞれの意味を簡単に!
要素 | 内容 | 一言で言うと |
---|---|---|
アクティビティコスト | 各作業単位の見積り | 「このタスクにいくら?」 |
ワークパッケージ | WBSの最小単位 | タスクの「お弁当箱」みたいなもの |
コントロールアカウント | 複数ワークパッケージのグループ | 管理単位の「棚」 |
コンティンジェンシー予備費 | 想定済みのリスクへの備え | 「風邪ひくかも」保険💊 |
コストベースライン | 予備費込みの支出計画 | 「予定通りに進めばこれだけ」 |
管理予備費 | 想定される外部のリスクへの備え | 「隕石落ちたら」保険 🪐 |
旅行の予算で例えると…
要素 | 旅行でいうと? |
---|---|
アクティビティ見積もり | 飛行機代・ホテル代・食費など |
ワークパッケージ | 1日ごとの旅程 |
コントロールアカウント | 「交通」「宿泊」「観光」ごとの区別 |
コンティンジェンシー予備費 | 突然や天気トラブル対策 |
管理予備費 | 飛行機キャンセルして船で帰る場合の費用等 |
プロジェクト予算 | 旅行全体で許される最大の金額! |
PMP試験の出題ポイント
出題内容 | よくある選択肢 |
---|---|
マネジメント予備費とコンティンジェンシー予備費の違い | 想定内 vs 想定外のリスクへの対応! |
コストベースラインに含まれるのはどこまで? | コンティンジェンシー予備費まではOK、マネジメント予備費は含まない! |
プロジェクト予算の定義 | 「コストベースライン+管理準備金」 |
現場あるあるトラウマ
- 「予算内ですね!」→実は予備費まで食いつぶしていた…
- 「管理予備費って、自由に使えるんでしょ?」→ダメです。
- 「予算に余裕があるので打ち上げ豪華に!」→監査「それ業務と関係あるんですか?」
まとめ表
項目 | 用途 | 備考 |
---|---|---|
アクティビティ見積もり | タスクのコスト | 最も細かい |
ワークパッケージ | 管理単位 | WBSと連動 |
コンティンジェンシー予備費 | 内部リスクを想定 | コストベースラインに含まれる |
管理予備費 | 想定される外部リスク | プロジェクト予算にのみ含まれる |
コストベースライン | 進捗比較のベース | EVMで使う |
プロジェクト予算 | 全体予算! | これを超えて上司が怒る |
PMP用語解説リンク集
プロジェクトの開始と計画
プロジェクト手法の理解と選択
スコープのマネジメント
スケジュールのマネジメント
予算のマネジメント
品質のマネジメント
資源のマネジメント
コミュニケーションのマネジメント
リスクのマネジメント
調達のマネジメント
ステークホルダーエンゲージメント
終結、ガバナンス、統合
作業の実行とマネジメント
プロジェクト作業と管理
変更管理、課題管理
確実な知識の共有
パフォーマンスの高いチームを作り支援する
チームの育成
エンパワーメント
トレーニングと指導
共通理解の形成
チームをリードする
チームのパフォーマンスを支援する
障害を取り除く
ビジネスを念頭に置く
コンプライアンスのマネジメント
ベネフィットの評価と引き渡し
変化への対応とPDCA