予算のマネジメントの用語をゆるく説明|PMP試験用語4

リーダー経験者は、予算通りに成果を出すことが、いかに難しいか知っているでしょう。

現場では「え、そんな費用が発生するの、聞いていない!」そんな声も聞こえる予算のマネジメント」

予算のマネジメントに関し、次の用語をざっくばらんに説明します。

分かりやすさ重視で、実際の試験用語として厳密に参照されたい場合は、PMPOKや参考書をご確認ください。

目次

トップダウン見積り

今回はプロジェクト計画の初期によく使われる「トップダウン見積り(Top-Down Estimating)」について、わかりやすく解説します。

トップダウン見積りとは?

全体をざっくり見てから、細かい部分に見積もりを割り振っていく方法」です。

「ケーキ1ホールは3,000円だから、1切れは大体300円でしょ」みたいな感覚。

特徴まとめ

特徴内容
大まか詳細な作業内容が決まる前でも使える
早いパパと全体像をつかめる
上層部が大好きまずは「とりあえず全体コストが欲しい」から!

どんな時に使う?

  • プロジェクト開始初期(WBSはまだ無い)
  • 類似プロジェクトの経験がある
  • 「社長が『大体いくら?』って聞いてきた」時

例:お弁当の価格を決めるとき

  • 次の「焼き鮭弁当」は500円だった
  • 今年のはちょっと具が豪華→550円くらい?
  • 各おかずは応じて大体割り当て

=これが「トップダウン見積もり」です!

メリットとデメリット

メリットデメリット
短時間で概略できる精度が低い場合がある
経験ベースで現実的なことも多いチームにとって根拠が不明瞭なことも
経営判断には便利詳細計画には向かない

他の見積もり法との比較

種類内容たとえ話
トップダウン全体から細部へケーキ1ホールを先に決める
ボトムアップ細部から全体へ1秒ずつ値段出して合計する
類推見積り過去の類似プロジェクトからの推定「去年もこんな感じだったし」
パラメトリック数式や係数で推定「敷地×敷地=工事費」
  • 社長「これ全部でいくらかかる?」
    PM「…うーん、去年と似てるし、3,000万くらいっす」
    社長「わかった、それでいこう」
    チーム「えっ!? それ、誰が見積ったんすか!?」

トップダウン見積もりあるですね😅

PMP試験でのポイント

  • トップダウン見積もりは「類推見積り(Analogous Estimating)」として分類されることが多い
  • 精度よりもスピードと全体感を重視した見積もり法
  • 「どの段階で使うか?」や「他の手法との違い」を問う問題が出やすい
項目内容
手法名トップダウン見積り(類推見積り)
使う時間プロジェクト初期
ポイント過去の事例から全体をざっくり見積もる
注意点精度は低いめ、根拠が問われることも

不確実性のコーン

プロジェクトの初期における「不確実性のコーン(Cone of Uncertainty)」について、わかりやすく解説します

不確実性のコーンとは?

プロジェクトの初期は予測があいまいで、進むごとに予測精度が上がる、という考え方をコーン(円錐)の形で表したもの。

たとえ話

プロジェクト開始直後はこんな感じ:

「納期?コスト?わからないから…魔法の水晶玉で占うか…」

そして、プロジェクト進むごとに情報が増えて、予測が現実に近づいていきます。

  • 初期:「たぶんこれくらい?」としか言えない
  • 予想:「まあこれぐらい」
  • 終盤:「確実にこれです」

なんで大事?

  • 初期の見積りは信用しすぎちゃダメ!
  • ステークホルダーに「これは仮見積ですよ〜」と念押しする必要あり
  • 計画の段階で「これで確定です!」と言い切ると、その後地獄を見る🔥

カレー作りに例えると…

  • 初期(冷蔵庫の前)
    →「とりあえず野菜あるし、カレーできる…はず?」
  • とりあえず(具材を切ったあと)
    →「じゃがいも4個、にんじん2本、ルーもOK、あと20分くらいで完了かな」
  • 終盤(煮込み中)
    →「あと5分で完了、あとは食べるだけ!」

最初は「わかりません」でも、進むほどゴールが見える

PMP試験での対策

  • リスク管理や見積もりの​​精度の説明で登場
  • 「なぜ初期の見積もりは不正確なのか?」→この考えで説明
  • 「計画初期は±50%、完了完了で±10%程度の誤差」という具体的な数値が出ることも!
項目内容
名称不確実性のコーン(Cone of Uncertainty)
意味プロジェクト初期は予測の誤差が大きく、進むごとに精度が高まる
主な用途スケジュール・コスト見積もりの​​説明、ステークホルダーへの期待管理
試験の話し合い所精度の幅・時間経過との関係性・期待値調整の必要性

部長:「納期いつ?」
PM:「今はまだ不確実性のコーンの中です!」
部長:「は?アイスの話か?」
PM:「…バニラよりスケジュールの話です。」

3点見積り

今回は見積り系の人気者「3点見積り(Three-Point Estimating)」について、解説します

3点見積りとは?

楽観・悲観・現実の3パターンを考えて、見積りに「現実味」と「余裕」を持てる手法」です!

  1. 最適見積もり(Optimistic / O)
     → すべてがうまくいった場合の最短時間(夢と希望が詰まっている)
  2. 最悪見積(悲観的 / P)
     → トラブル全部起きたらこうなる(超地獄も覚悟)
  3. 最小可能見積り(Most Likely / M)
     → 現場感覚で「たぶんこれくらいかな…」な時間

ベータ分布(PERT法)
E = (O + 4M + P) ÷ 6

→「現実味のある平均値」を出すための「重み付き」平均です。

例:

  • 最も:2日
  • 中旬:10日
  • 最短:5日
E = (2 + 4×5 + 10) ÷ 6 = 5.33日

📌 最大可能値に4倍の重みをつけてるのがミソ!

例えるなら…お弁当屋さんで

  • 楽観的:「配達順調!信号も青!→15分!」
  • 最も可能性が高い:「まあ混むし、いつも通り→25分」
  • 悲観的:「道が大渋滞&雨!→50分」

→計算して「納期目安30分で出しておこう」とか、そんな感じです!

3点見積りのメリット

3点見積りのメリット内容
リスクを反映できる一つの数字に「幅」があるので現実的
チームの安心感アップ悲観も含めてストレスなプレッシャー減
スケジュールとコスト両方に使える万能系見積りマン!

3点見積もりのデメリット

3点見積もりのデメリット内容
考え・最悪を出すのに時間がかかる慣れてないと難しい
主観が入る人によって

現場あるある

上司:「この作業、何日かかる?」
部下:「3点見積りしたら…最短2日、最悪10日、たぶん5日です」
上司:「なら3日かな!」
部下:「それは、楽観的です…神しかできません…🙏」

PMP試験でのポイント

  • ベータ分布(PERT)(O+4M+P) ÷ 6」と「三角分布(O+M+P) ÷ 3」の違いに注意
  • スケジュール見積りまたはコスト見積りに取り組みやすい
  • 「なぜ3点見積りを使うのか?」→不確実性への備えと答えよう!
項目内容
手法3点見積り(三点見積り)
意図楽観・悲観・現実を織り込んだ現実的見積り
計算式ベータ分布: (O + 4M + P) ÷ 6
使用シーンスケジュール・コスト見積もり、リスク考慮が必要な時

コストベースライン

プロジェクトマネジメントの「お財布番長」、コストベースライン(Cost Baseline)について、説明します

コストベースラインとは?

プロジェクトで「このタイミングでこのくらい使う予定!」という、承認された支出計画 のことです。

お金って放っておくとすぐ減ったり減ったり(諦め)するので、

「どこで」「いくら」使うのをとりあえず明確にして、

EVM(Earned Value Management)と比べやすくするします。

構成要素

コストベースラインはこんな風に感じています:

コストベースライン = 各アクティビティの予算の総和

さらに、これにマネジメント予備費(Management Reserve)を加えると、全体の予算になります:

プロジェクト予算 = コストベースライン + マネジメント予備費

※試験ではこの違いがよく聞かれます!

昼ごはんの予算で例えるなら…

  • 月曜:のり弁 ¥500
  • 火曜:唐揚げ弁当 ¥600
  • 水曜:カレー弁当 ¥650

この3日間のお弁当の予算表が「コストベースライン」です

それでも、「突然うな重が食べたくなるかも」というリスクに備えて財布に余裕をもって入れておくのが「管理予備費」です😋

実務では…

  • ガントチャートとセットで「時間×コスト」のカーブ(Sカーブ)にして管理します。
  • 実績と比べて「早く終わった!」「予算超過してる!」などを判断できます。

PMP試験で出題ポイント

出題パターン内容を確認する
コストベースラインとは?承認されたコスト+時間軸。予備費は含まれません。
コストベースラインと予算の違いベースラインは「使う計画」、予算は「全体のお金」
EVM(Earned Value Management)との関係コストベースラインとEVとの比較でCV・CPIなどを算出

現場あるある・トラウマ

  • 「コストベースラインを守るぞ!」と言った直後に仕様変更で予算崩壊💸
  • 「この費用は予備費で出しますよね?」と聞かれて困るPM
  • 「予算残ってるから豪華にいこう!」→リーダー「ダメです。」

まとめ:コストベースラインとは?

項目内容
定義時間軸に沿った、承認済みのコスト計画
含まれないもの管理予備費
使い道進捗管理・EVM分析・コストコントロール
覚え方「使って良かったお金の地図」みたいなもの

参考情報:Sカーブの図解

出力画像

こちらが「Sカーブ」の図解です📈

  • PV(計画値):丸の点線。「これくらいの支出になる予定」のラインです。
  • EV(Earned Value): 四角の実線。「実際に完了した仕事の価値」を示します。
  • AC(実費):三角の実線。「実際に使ったお金」です。

これでわかること

  • EV < PV → 進捗遅れてる💦
  • AC > EV → お金使いすぎてる😱
  • EV = PVかつAC ≈ EV → いい感じ!

プロジェクトの予算の要素

プロジェクトマネジメントにおける「予算の構成要素」について、解説します

プロジェクトの予算とは?

「このプロジェクトに、最終的にこれだけのお金を使っていいですよ」と承認された金額のこと!

プロジェクトの予算は主に次のような話し合いで決めます:

プロジェクト予算(Total Project Budget) = コストベースライン(Cost Baseline)+ マネジメント予備費(Management Reserve)

さらに、コストベースライン内の訳は…

コストベースライン = アクティビティコスト(Activity Cost Estimates)+ワークパッケージ(Work Pachages)+コントロールアカウント(Control Accounts)+ コンティンジェンシー予備費(Contingency Reserve)

それぞれの意味を簡単に!

要素内容一言で言うと
アクティビティコスト各作業単位の見積り「このタスクにいくら?」
ワークパッケージWBSの最小単位タスクの「お弁当箱」みたいなもの
コントロールアカウント複数ワークパッケージのグループ管理単位の「棚」
コンティンジェンシー予備費想定済みのリスクへの備え「風邪ひくかも」保険💊
コストベースライン予備費込みの支出計画「予定通りに進めばこれだけ」
管理予備費想定される外部のリスクへの備え「隕石落ちたら」保険 🪐

旅行の予算で例えると…

要素旅行でいうと?
アクティビティ見積もり飛行機代・ホテル代・食費など
ワークパッケージ1日ごとの旅程
コントロールアカウント「交通」「宿泊」「観光」ごとの区別
コンティンジェンシー予備費突然や天気トラブル対策
管理予備費飛行機キャンセルして船で帰る場合の費用等
プロジェクト予算旅行全体で許される最大の金額!

PMP試験の出題ポイント

出題内容よくある選択肢
マネジメント予備費とコンティンジェンシー予備費の違い想定内 vs 想定外のリスクへの対応!
コストベースラインに含まれるのはどこまで?コンティンジェンシー予備費まではOK、マネジメント予備費は含まない!
プロジェクト予算の定義「コストベースライン+管理準備金」

現場あるあるトラウマ

  • 「予算内ですね!」→実は予備費まで食いつぶしていた…
  • 「管理予備費って、自由に使えるんでしょ?」→ダメです。
  • 「予算に余裕があるので打ち上げ豪華に!」→監査「それ業務と関係あるんですか?」

まとめ表

項目用途備考
アクティビティ見積もりタスクのコスト最も細かい
ワークパッケージ管理単位WBSと連動
コンティンジェンシー予備費内部リスクを想定コストベースラインに含まれる
管理予備費想定される外部リスクプロジェクト予算にのみ含まれる
コストベースライン進捗比較のベースEVMで使う
プロジェクト予算全体予算!これを超えて上司が怒る

PMP用語解説リンク集

プロジェクトの開始と計画
 プロジェクト手法の理解と選択
 スコープのマネジメント
 スケジュールのマネジメント
 予算のマネジメント
 品質のマネジメント
 資源のマネジメント
 コミュニケーションのマネジメント
 リスクのマネジメント
 調達のマネジメント
 ステークホルダーエンゲージメント
 終結、ガバナンス、統合

作業の実行とマネジメント
 プロジェクト作業と管理
 変更管理、課題管理
 確実な知識の共有

パフォーマンスの高いチームを作り支援する
 チームの育成
 エンパワーメント
 トレーニングと指導
 共通理解の形成
 チームをリードする
 チームのパフォーマンスを支援する
 障害を取り除く

ビジネスを念頭に置く
 コンプライアンスのマネジメント
 ベネフィットの評価と引き渡し
 変化への対応とPDCA

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