技術士試験の合格に必要な勉強時間は?【体験談と50人アンケート】

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技術士一次試験、二次試験の標準的な勉強時間が知りたい人

技術士試験の受験を検討している人や、試験勉強中の人は、合格に必要な勉強時間が気になると思います。

・他の資格も気になる中、技術士試験の必要勉強時間を把握したい
・学習計画の参考として、勉強時間を把握したい

この勉強時間は、個人差が大きいため、ネットの情報を鵜呑みにしたくないと考える方が多いのもうなずけます。

・標準的な勉強時間というが、何を根拠に勉強時間を計ったのか
・頭の良し悪しで、大幅に変わるだろう

そこで、本記事では上の悩みに答えるべく、なるべく定量的に勉強時間の情報を集めました。

具体的には、「様々な技術士講座や参考書」、「技術士受験者50人へのアンケート」、「私の体験談」から勉強時間を分析します。

結論

標準的な大学を卒業し、正しい勉強方法で試験対策した場合の、合格までの勉強時間は、

技術士一次試験が150時間、
技術士二次試験が550時間です。

この記事を書いた人

令和5年に技術士(機械部門)合格
技術士講座で試した講座は6社
記事コンテストで銅賞獲得

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たけゆう
目次

一次試験は150時間

技術士一次試験の勉強時間は、合計で150時間程度を見込みます。

150時間の内訳は、学習計画で10時間、基礎科目で60時間、適正科目で20時間、専門科目で60時間です。内訳の詳細を説明します。

▼なお一次試験の詳細はこちらの記事で徹底解説しています
技術士一次試験の難易度や勉強方法は?機械と電気で一発合格した筆者が徹底解説!>>

学習計画は10時間

技術士一次試験の学習計画として、10時間を見込みます。

まず、技術士会のホームページから、試験概要をよく確認します。機械部門・電気電子部門など20の技術部門から、受験する部門を選びます。受験部門を選んだら、過去問に目を通して、問題の雰囲気を掴みます。具体的な学習計画は、sukiyaki塾のホームページを確認すると良いでしょう。

私は参考書を1冊だけ買って、技術士会HPに掲載されている過去問と解答を見て勉強し、機械部門と電気部門に合格しました。

実際の試験は、その多くが過去問から出題されます。得点50%以上で合格点なので、過去問を繰り返し解くような学習計画となります。

基礎科目の勉強時間は60時間

技術士一次試験の基礎科目対策として、60時間を見込みます。基礎科目は、20部門全ての人が受験します。高校で習う物理や化学よりも難しいと感じる、大学レベルの技術的な問題が出題されます。

基礎科目の問題の一例(技術士会HPから引用)

1群 設計・計画に関するもの(全6問題から3問題を選択解答)

Ⅰ-1-1 次のうち、ユニバーサルデザインの特徴を備えた製品に関する記述として最も不適切なものはどれか。

① 小売店の入り口のドアを、ショッピングカートやベビーカーを押していて手がふさがっている人でも通りやすいよう、自動ドアにした。

② 録音再生機器(オーディオプレーヤーなど)に、利用者がゆっくり聴きたい場合や速度を速めて聴きたい場合に対応できるよう、再生速度が変えられる機能を付けた。

③ 駅構内の施設を案内する表示に、視覚的な複雑さを軽減し素早く効果的に情報が伝えられるよう、ピクトグラム(図記号)を付けた。

④ 冷蔵庫の扉の取っ手を、子どもがいたずらしないよう、扉の上の方に付けた。

⑤ 電子機器の取扱説明書を、個々の利用者の能力や好みに合うよう、大きな文字で印刷したり、点字や音声・映像で提供したりした。

6問から3問選び、3問×5分野=15問を制限時間60分で解答します。全て選択肢5つの択一式です。過去問を解いて気が付きますが、例年似たような問題が出題されます。

私の場合は、足りない知識を補いながら、過去問を繰り返し解くという学習方法となりました。4年分を4回ずつ時間通り解くと、16時間です。選択しない問題も含めると、倍の32時間となります。知識を補いながら勉強すると、60時間程度でしょう。

適性科目の勉強時間は20時間

技術士一次試験の適性科目対策として、20時間を見込みます。適性科目も、20部門全ての人が受験します。適性科目の内容は、技術的というよりは、技術者倫理を問う問題です。

適性科目の問題の一例(技術士会HPから引用)

ダイバーシティ(Diversity)とは、一般に多様性、あるいは、企業で人種・国籍・性・年齢を問わずに人材を活用することを意味する。また、ダイバーシティ経営とは「多様な人材を活かし、その能力が最大限発揮できる機会を提供することで、イノベーションを生み出し、価値創造につなげている経営」と定義されている。「能力」には、多様な人材それぞれの持つ潜在的な能力や特性なども含んでいる。「イノベーションを生み出し、価値創造につなげている経営」とは、組織内の個々の人材がその特性を活かし、生き生きと働くことのできる環境を整えることによって、自由な発想が生まれ、生産性を向上し、自社の競争力強化につながる、といった一連の流れを生み出しうる経営のことである。
 「多様な人材」に関する次の(ア)~(コ)の記述のうち、あきらかに不適切なもの数を選べ。

(ア)性別
(イ)年齢
(ウ)人種
(エ)国籍
(オ)障がいの有無
(カ)性的指向
(キ)宗教・信条
(ク)価値観
(ケ)職歴や経験
(コ)働き方

① 0  ② 1  ③ 2  ④ 3  ⑤ 4

15問を制限時間60分で解答します。全て選択肢5つの択一式です。こちらも過去問を解いて気が付きますが、例年似たような問題が出題されます。

特に対策をしなくても、大丈夫という人もいますが、私は過去問を繰り返し解きました。3年分を4回ずつ時間通り解くと、12時間です。知識を補いながら勉強すると、20時間程度でしょう。

専門科目の勉強時間は60時間

技術士一次試験の専門科目対策は、60時間を見込みます。専門科目は、部門ごとに異なる問題が出題されます。高校で習う物理や化学よりも難しいと感じる、大学レベルの技術的な問題が出題されます。

専門科目の問題の一例(技術士会HPから引用)

【09】建設部門

Ⅲ-18 単一管路内で満管となる水の流れに関する次の記述のうち、不適切なものはどれか。

① 流れ方向に管路の断面積が大きくなると、流量は減少する。
② ピエゾ水頭は、位置水頭と圧力水頭の和である。
③ 流れ方向に管路の断面が一様なときは、エネルギー線と動水勾配線は平行となる。
④ 全エネルギーは、摩擦や局所損失のため、流れ方向に減少する。
⑤ 管路の水平箇所では、流れ方向に管路の断面積が小さくなると、圧力水頭は減少する。

35問から25問を選び、制限時間120分で解答します。全て選択肢5つの択一式です。こちらも過去問を解いて気が付きますが、例年似たような問題が出題されます。

私の場合は、配点が大きく得意な分野に絞って、過去問を繰り返し解くという学習方法となりました。3年分を3回ずつ時間通り解くと、18時間です。選択しない問題も含めると、26時間となります。知識を補いながら勉強すると、60時間程度でしょう。

一次試験は、合計で150時間ということで、説明を終わります。次は二次試験を見てみましょう。

二次試験は550時間

技術士二次試験の勉強時間は、合計で550時間程度を見込みます。

550時間の内訳は、受験申込書で50時間、筆記試験で400時間、口頭試験で100時間です。内訳の詳細を説明します。

▼なお二次試験の詳細はこちらの記事で徹底解説しています
技術士二次試験対策の前に知りたいことまとめ>>

受験申込書の勉強時間は50時間

受験申込書の勉強時間は、50時間を見込みます。その内訳は、

・学習計画5時間
・作成1回目で10時間
・修正5時間を4回で20時間
・提出手続きに5時間 です。

技術士実務経験証明書の提出例-1-1(アガルート技術士講座)
技術士受験申込書の一部分(実務経験証明書)
技術士実務経験証明書の提出例-1-2(アガルート技術士講座)
技術士受験申込書の一部分(720字の業務詳細)

技術士二次試験は、受験申込書から始まっていると言われます。なぜなら、受験申込書の出来が、口頭試験の結果を左右するからです。

そのため、受験申込書を提出する段階から、大きな勉強時間が必要となります。技術士法に適合するよう、言葉を選びながら、業務経歴書を作成します。自分の中で何度も書き直して、10時間ほど必要でしょう。

自分なりに作成できたら、技術士の講師の方に添削していただき、修正します。私は修正に5時間ほど掛かりました。

この修正を2~4回繰り返した後、証明写真や職場からの印鑑を貰い、本番用書類を簡易書留で郵送します。

筆記試験の勉強時間は400時間

二次試験の最大の関門である筆記試験は、400時間を見込みます。その内訳は、

・学習計画10時間
・キーワード学習40時間
・ⅠⅡⅢの論文対策が180時間
・出題テーマの想定と白書の理解が50時間
・復習と記述練習が100時間
・模擬試験と本番で20時間 です。

アガルートの提出答案Ⅱ-2-1(技術士講座)
筆記試験Ⅱ-2の答案例
アガルートの提出答案Ⅱ-2-1(技術士講座)
筆記試験Ⅱ-2の答案例

筆記試験は、必須科目Ⅰで3枚、選択科目Ⅱで3枚、選択科目Ⅲで3枚の論文を書きます。問われた題目に対して、専門分野のキーワードを押さえながら、正しい文章作法で記述します。

専門的な技術経験が少ない方は、300個程度のキーワード集を広く作り込むところから始めます。ここでは、1つのキーワードを10分でまとめ、120個のキーワードを作った後に復習する事を想定して、40時間としています。

キーワードを勉強した後は、筆記試験のⅠⅡⅢの論文作成練習をします。3枚の論文作成にじっくり6時間かけ、添削を受けた後に6時間で完成させます。ⅠⅡⅢの各答案を、5種類ずつ完成させると、180時間となります。

論文作成をしながら、出題テーマの分析と白書の理解を勧めます。白書とは、例えば経済産業省が発行する「ものづくり白書」など、国家機関が作成する提言書です。DXやGX、少子高齢化など、社会的な背景から課題を抽出する時の参考書となります。筆記試験の題目を見ていると、白書から出題されていると感じます。この白書の理解と、出題テーマの分析が、50時間掛かると見込みます。

試験直前は、作成してきた答案の復習と、記述練習を繰り返し行います。200枚ほどの論文を手書きし、100時間程度を要すると見込みます。

最後に、模擬試験と筆記試験の本番を想定し、20時間です。

最大の関門、筆記試験は400時間ですか…。長いですね。

口頭試験の勉強時間は100時間

口頭試験の勉強時間は、100時間を見込みます。その内訳は、

・学習計画5時間
・筆記試験の再現と選択科目Ⅲの反省15時間
・受験申込書の再整理20時間
・コンピテンシー毎の想定問題と面接練習50時間
・口頭試験本番(移動含む)10時間 です。

技術士二次試験の口頭試験は、筆記試験の合格者が受けます。口頭試験の合格率は80%と高いですが、筆記試験の合格率が15%と低く、更に口頭試験で不合格なら翌年は筆記試験から受け直す必要があります。そのため、口頭試験も気が抜けない難関の試験となります。

口頭試験の勉強内容は、面接で聞かれることを想定し、答えを事前に準備しておくことです。面接で聞かれる事は、これまでの受験申込書や筆記試験に関係があります。そのため、それらの復習に時間が必要です。

口頭試験の採点は、技術士に求められるコンピテンシー(リーダーシップ、マネジメントなど)を、一項目ずつ加点方式で行います。質問に正しく答えることで加点されるので、必要以上に語らず、素早く的確に回答する必要があります。そのため面接練習が必要になります。

技術士二次試験は、合計で550時間かかる見込みということですね。

受験者50人のアンケート結果詳細(一次)

クラウドワークスを利用し、技術士一次試験受験者50人にアンケートを取りました。

技術士二次試験受験者50人のうち、
合格者の割合は52%、
合格者の平均勉強時間は115時間、
不合格者の平均勉強時間は118時間でした。

技術士二次試験受験者50人のアンケート結果
あなたは技術士一次試験に合格しましたか?
合格52%、不合格48%
合格者の平均勉強時間
115時間
不合格者の平均勉強時間
118時間
※なお、アンケートはこちらの応募とフォームによって得ました。

受験者50人のアンケート結果詳細(二次)

一次と同様にクラウドワークスを利用し、技術士二次試験受験者50人にアンケートを取りました。

技術士二次試験受験者50人のうち、
合格者の割合は36%、
合格者の平均勉強時間は511時間、
不合格者の平均勉強時間は297時間でした。

技術士二次試験受験者50人のアンケート結果
あなたは技術士二次試験に合格しましたか?
合格36%、不合格64%
合格者の平均勉強時間
511時間
不合格者の平均勉強時間
297時間
※なお、アンケートはこちらの応募とフォームによって得ました。

他の難関資格の勉強時間(比較参考)

技術士は技術系の難関資格と言われていますが、他の難関資格と勉強時間を比較してみました。どの資格を取ろうか迷っている人にとっては、参考となる情報だと思います。

資格勉強時間
弁理士3000時間
中小企業診断士1000時間
第三種電気主任技術者(電験三種)500~1000時間
第二種電気主任技術者(電験二種)600~1000時間
第一種電気主任技術者(電験一種)1500時間
応用情報技術者200~500時間
基本情報技術者50~200時間
ITパスポート5~100時間
1級建築士700~1500時間
2級建築士500~700時間
1級建築施工管理技士75時間程度
2級建築施工管理技士60時間程度
1級土木施工管理技士500~700時間
2級土木施工管理技士50~300時間
技術士と難易度や分野が近い資格の勉強時間

まとめ

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。記事のまとめとして、技術士の勉強時間を再掲します。

結論

標準的な大学を卒業し、正しい勉強方法で試験対策した場合の、合格までの勉強時間は、

技術士一次試験が150時間
技術士二次試験が550時間

本記事を読んで、技術士試験や、技術士資格に興味を持ってもらえたら嬉しいです。

私は、技術士試験勉強をキッカケに、仕事力UPや視野の広がりを実感しています。

技術士を目指したおかげで、今では毎日定時帰りをしながら、年間300万円以上金融資産を増やしています。

特に家族と過ごす時間が増え、家族仲が良くなったと実感しています。

その背景から、当ブログでは「技術士を目指す事で」「時間とお金の自由を増やす」をテーマとしています。

皆さんが技術士という資格に興味を持った理由も、時間とお金の自由を増やしたいことが根底にあるかもしれません。

以前Twitterで技術士受験者の正直な志望動機を聞いたところ、半数以上の方が「時間とお金の自由」を第1の動機としていました。

もちろん、実際の技術士口頭試験で、「時間とお金の自由を手に入れたい」言ったら確実に不合格です。

とは言っても、人間というものは本能に逆らえないもので、聞こえが良い動機を考えるより、自分の欲望に向き合った方が実は頑張れるのです。

だから、敢えて私は「教科書に書いてある動機」ではなく、「本能の動機」にこだわります。

そのため、当ブログを読んでいただいた方が、今より時間とお金に自由になれるよう情報発信を続けて参ります。

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それでは、皆様の技術士試験、並びに技術者生活に良き事がありますように。

公共の安全、環境の良化に貢献しながら、時間とお金の自由を手に入れましょう!

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