技術士二次試験の必須科目Ⅰの点数を上げたい人
機械部門を受験予定で、添削を受けた答案の例を見たい人
アガルートで必須科目Ⅰの添削を受けた実例が気になる人
技術士二次試験の必須科目Ⅰは3枚の答案用紙に記述する必要があります。そのため、3枚もの原稿用紙に何を書いたら評価されるか悩む方も多いと思います。筆記試験をクリアするため、次のようなステップで完成させる方も多いでしょう。
- 答案の書き方について情報を集める
- 自分が納得するまで書く
- 有識者からフィードバック(添削)を貰う
- 答案を書きなおす
中でも3.の添削をもらう事は、とても重要だと考えます。しかし添削をもらうと言っても、有料だったり、人様の時間をいただく事になります。
お金を払って、答案をダメ出しされる。添削も楽じゃない。
添削を受ければすぐ合格答案が量産できる、というと違います。何度も添削を受けても、なかなか60点を超えられない同胞も多く見てきました…!そこで本記事では、私が添削を受けて75点だった答案を紹介し、ポイントを説明します。
添削を受ける回数を減らして、最短で合格する。これをお手伝いします。
答案はアガルートの講座で添削いただいたので、アガルートの添削様式も参考にして下さい。
・雑誌や本で集めた知識を答案に書いても、集団を抜け出せない。
・自分の受験科目の「専門家」として書く。これが差別化に繋がる。
・かといって、自分よがりで題意を外すのはNG。専門科目のキーワードを適切に使うこと。
・そのため専門科目のキーワードを、自分の業務経験に結びつけて、専門家としての視点で書くこと。
・チェック項目が14項目でABC評価されるので、「弱い点」がすぐ見つかる
・「弱い点」を「どう修正すれば良いか」、一目でわかるので、勉強の効率も上がる
・自分の答案が、細かく「褒められ」「添削」されるので、修正する「モチベーション」も上がる
必須科目Ⅰの審査項目とコンピテンシー
本題に入る前に、技術士の筆記試験必須科目Ⅰについて簡単に説明します。
必須科目Ⅰの審査項目は次のように明記されています。(技術士の受験申込書参照)
【概念】
専門知識
専門の技術分野の業務に必要で幅広く適用される原理等に関わる汎用的な専門知識応用能力
これまでに習得した知識や経験に基づき、与えられた条件に合わせて、問題や課題を正しく認識し、必要な分析を行い、業務遂行手順や業務上留意すべき点、工夫を要する点等について説明できる能力問題解決能力及び課題遂行能力
社会的なニーズや技術の進歩に伴い、社会や技術における様々な状況から、複合的な問題や課題を把握し、社会的利益や技術的優位性などの多様な視点からの調査・分析を経て、問題解決のための課題とその遂行について論理的かつ合理的に説明できる能力【出題内容】
現代社会が抱えている様々な問題について、「技術部門」全般に関わる基礎的なエンジニアリング問題としての観点から、多面的に課題を抽出して、その解決方法を提示し遂行していくための提案を問う。【評価項目】
技術士公式HPの受験申込書より引用
技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)のうち、専門的学識、問題解決、評価、技術者倫理、コミュニケーションの各項目
つまり闇雲に回答しても点数が入るわけではなく、「審査項目」を満たした答案作りが肝要です。
審査項目について、「コンピテンシー」を意識して表にまとめると、このようになります。
審査項目 | Ⅰ | Ⅱ-1 | Ⅱ-2 | Ⅲ | 口頭 |
---|---|---|---|---|---|
専門的学識 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
問題解決 | 〇 | 〇 | |||
マネジメント | 〇 | 〇 | |||
評価 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
コミュニケーション | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
リーダーシップ | 〇 | 〇 | |||
技術者倫理 | 〇 | 〇 | |||
継続研さん | 〇 |
審査項目 | Ⅰ | Ⅱ-1 | Ⅱ-2 | Ⅲ | 口頭 |
---|---|---|---|---|---|
専門的学識 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
問題解決 | 〇 | 〇 | |||
マネジメント | 〇 | 〇 | |||
評価 | 〇 | 〇 | 〇 | ||
コミュニケーション | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
リーダーシップ | 〇 | 〇 | |||
技術者倫理 | 〇 | 〇 | |||
継続研さん | 〇 |
コンピテンシーとは、「結果を出し続ける人の行動特性」の事を指します。
技術士に求められるコンピテンシーは、文部科学省のHPで説明があります。
当サイトでもこちらの記事で説明したので、気になる方は参照下さい。
必須科目Ⅰは、次のような評価項目で何点入りそうか、意識してください。
- 文章番号、タイトルの入れ方
- 解答は論理的整合性があるか
- 専門的学識
- コミュニケーション能力
- 問題解決能力
- 解決策を評価しリスクを見つけているか
添削で75点評価だった答案の紹介
こちらが、添削で75点評価だった答案です。
なお添削者は、技術士総合技術管理部門の資格を持っており、社内で講師の経験がある方です。
現代では社会や人々の生活に多くの機械製品・設備が深く浸透している。そしてそれらが何らかの要因により故障・破壊すると、その影響が拡大し、社会や人々の生活に甚大な被害をもたらすこともあり得る状況である。したがって、今後の新たな機械製品・設備の設計開発に際しては、公益の確保の観点からも、機械製品・設備の持つ公共への影響を充分考慮して設計しなければならない。このような状況を踏まえ、以下の問いに答えよ。
(1)故障・破壊により社会や環境に広範な影響を及ぼすような機械製品・設備を設計する場合、それらの持つ公共への影響を考慮すると、どのような課題を考えておかなければならないか、技術者の立場で機械技術全般に関する多面的な観点から課題を3つ抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、課題の内容を示せ。
(2)抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する機械技術者としての解決策を3つ示せ。
(3)提案した解決策をすべて実行した結果、得られる成果とその波及効果を分析し、新たに生じる懸念事項への機械技術者としての対応策について述べよ。
(4)前問(2)~(3)の業務遂行に当り、機械技術者としての倫理、社会の持続可能性の観点から必要となる要件・留意点について述べよ。
提出した答案はこちらになります。
1.機械製品の持つ公共への影響を考慮した設計課題
1-1.製品例(エレベータ用巻上機)
製品例は、図1の巻上機を想定する。巻上機は、モータとブレーキ(以下BK)から成り、カゴを駆動させる回転機械である。BKは、綱車を保持しカゴを静止させる安全装置である。
1-2.環境変化、製品バラつきを考慮した安全設計
BKの制動力不足により、エレベータが戸開走行やバッファストライクした事故例がある。この制動力不足は、環境変化や製品バラつき等、設計時の想定不足に起因する。この設計時想定不足の問題に対し、要求品質の早期可視化や不具合を未然防止する設計が必要である。
1-3.故障時に乗客の利便性を低下させない設計
エレベータを長時間停止させて行うBKパッドの交換は、乗客の利便性を低下させる。BKパッドの交換は、カゴを突き上げて行う必要があり、長時間化しやすい。この停止時間長期化の問題に対し、パッド寿命予測やパッド交換時間低減を可能とする設計が必要である。
1-4.周囲環境(騒音等)への影響を低減する設計
パッドがドラムに押し付けられる際のBK開閉動作音には、パッド潰れや摩耗発生→パッドとドラムの間隙増加→BK動作量増加→BK動作音増加のメカニズムがある。動作音は周辺環境で許容値が異なり、許容値の定量化が難しい。この許容値定量化困難の問題に対し、騒音や顧客の声をデータ化し、環境影響を低減する設計を行う。
2.最も重要と考える安全性確保の課題と解決策
安全性の確保は、公益確保の視点から最優先なため、安全を考慮した設計課題に対する解決策を示す。
2-1.品質機能展開(QFD)による要求品質の具体化
設計者は、顧客が要求する品質を抽出し、各要求品質の重要度と競合比較を分析した上で、どの要求品質を重視するか判断する。BKでは、エレベータ改修周期の25年間、-10~50℃環境で摩擦係数低下が20%未満、パッド脱落等で制動力損失が無い事を重視する。重視した事項は、設計・製造・検査工程に反映させる。
2-2.タグチメソッドを活用したBK制動力設計
BKの制動力は、BKパッドの摩擦係数のばらつきを少なくすることが重要である。その摩擦係数は、面圧分布や使用温度などにより変動するため、タグチメソットを活用して、BKパッドの形状や材質の最適化と制動力の最適化を図る。
2-3. エンコーダによるカゴ滑り未然防止
カゴ滑り未然防止対策では、BKの静トルクと動トルクを自動運転にて遠隔診断する。遠隔診断では、BKを作動させた状態でモータトルクを印加し、滑り量をエンコーダで検出する。トルク低下早期検出では、通常保持トルクの2倍で滑り検査を行い、保守員に自動通知する。本防止策は、異物がパッド全面を覆い大幅にトルク低下する前に、パッド交換とドラム清掃対策ができる。
3.成果と波及効果、懸念事項とそれへの対策
3-1.成果と波及効果
2項の解決策で述べた対策により、環境変化や製品バラつきが発生しても、BKトルク低下発生件数が、80%程度低下する。この結果、エレベータの戸開走行やバッファストライクの発生を0.01%/台以下に低減でき、乗客の心理的安全性の確保に貢献できる。
3-2.遠隔診断での物件情報流出の懸念 (懸念事項)
遠隔診断が取得した物件情報は、プライバシー保護の観点から、利用する範囲を制限するべきである。ネットワーク上の情報通信は、サイバー攻撃や情報取扱者の不注意等により、機密情報が外部へ流出する懸念がある。
3-2.情報セキュリティ対策(懸念事項の対策)
情報の機密性強化では、パスワード認証、ウイルスソフト導入、及び情報暗号化等によりセキュリティの脆弱性を排除する。人的ミス削減対策では、情報管理に関する指針の設定、及び情報セキュリティに対する関心を高める啓発活動を行う。
4.技術者倫理、持続可能性の観点での要件と留意点
新たな故障検知技術の導入による未知のリスクは、FTAやFMEAで抽出し、安全最優先となる対策を講じる。リスクを完全に排除する事は困難な為、ユーザに危害が及ばないフェールセーフ機能の追加を検討する。日々進歩する機械設計技術や材料技術等を積極的に活用し、持続可能な技術開発、及び国民経済の発展に努める。以上
こちらの答案を作成するに当たって気をつけたポイントは次の通りです。
(1) 専門科目のキーワードを、業務経験に結びつけて、専門家として書く
(2) 小論文なので、主張することには理由を付ける。
(3) 主語と述語を意識し、長文を避ける。
(4) 章、節、項の書き方は統一する。可能なら所属学会に従う。
機械学会の例は以下。
1.章のタイトル
1・1 節のタイトル1
1・2 節のタイトル2
1・2・1 項のタイトル1
(5) 文頭は「1マス」空けて書き始める。(Ⅱ-1の添削で指摘された)
(6) 体言止めは箇条書きのみで使用する。基本は論文調の文末「である」を使う。(Ⅱ-1の添削で指摘された)
アガルートの通信講座で添削を受けた理由
私としては完成させた答案です。これを敢えてアガルートの技術士講座で添削いただきました。
なぜ、添削で75点を貰った答案を、別の先生に見て貰うか。それは万人に受ける答案を目指したからです。
技術士試験では、どんな採点者に当たるか分かりません。
どんな採点者に当たっても、合格答案だとアピールできる実力が欲しく、複数の人に添削いただきました。
1人から75点評価の答案より、10人に70点以上と言われる答案を目指したい。
アガルートは、合格時に素晴らしい返金制度があり、そのためアガルート講座を併用しています。
アガルート通信講座での添削結果
アガルート通信講座で添削を受けた結果は次の通りでした。
解答論文評価視点 | 評価 |
---|---|
文章番号、タイトルの入れ方 | A |
図表の挿入はあるか・解答の中で説明しているか | A |
文章は一文一意になっているか・文法上の間違いはないか | A |
一つの文章は、70文字以内に収まっているか。主語と述語の関係はあっているか | A |
論理的な文章構成になっているか、論理の飛躍はないか | A |
設問に対して、解答はズレていないか | A |
コンピテンシー:コミュニケーション能力(分りやすい文章か) | A |
コンピテンシー:専門的学識(専門知識に間違いは無いか) | A |
コンピテンシー:問題解決に向けて課題は抽出されているか | A |
コンピテンシー:最も重要な課題は適切か | A |
コンピテンシー:解決策を評価しリスクを見つけているか | A |
必要な要件は明確になっているか | A |
コンピテンシー:必要な要件は倫理・持続可能性の視点になっているか | A |
チェック項目が14項目でABC評価されるので、「弱い点」がすぐ見つかります。
【全体のコメント】
評価は、Aです。 問題ございません。強いて言えば、課題提示の観点をあえて書くこと、技術者倫理ならびに社会持続性を個別に記述いただくことです。 この調子で記述体裁を意識して、記述練習ください。
【指摘事項】
・課題タイトルとその内容を拝読すると、観点もわかりますが、文中例を参考に観点もあえて提示ください。試験委員の誤読はなくなります。
→(1)では、「~の観点を明記したうえで」と書かれているので、素直に従った方が良さそうです。
・(4)の回答は問題ありませんが、技術者倫理にあっては、技術士会技術士倫理規定、社会持続性にあっては、SDGs17目標の項目も参考にし、各々個別に記述されると一層よくなります。
「弱い点」を「どう修正すれば良いか」、一目でわかるので、勉強の効率も上がります。
提出した解答用紙に対する、「特に良い点」と「要修正点」のコメントも付いていました。
3枚の答案用紙に、18個ものコメントをいただきました。
ここまで丁寧に見てくれる講座も珍しいです。添削の手厚さで講座を選ぶなら、アガルートです。
このように添削を受けた後、答案を修正しました。
しかし令和4年度の試験で使用する答案となりそうなので、申し訳ございませんが非公開とします。
どうやって添削を受けたか
このように技術士試験合格に向けて添削が大変重要であると考えています。
そこで参考として、私が添削を受けた方法について紹介します。
有料となってしまうのですが、こちらの講座を利用しました。
8回の添削と1回の模擬面接が付く講座で、私は2022年の合格を目指し受講しました。
4度目の受験となりますが、通信講座を初めて受講しました。そしてついに筆記合格を果たしました!口頭試験の結果待ちです。
こんな感じでチャットアプリに申込書をアップロードするだけで、添削を受けられました。
私が受験申込書の添削を提出した際は、24時間以内に返ってきました。
他にも技術士講座を試してみましたが、アガルート講座は返金制度が大変魅力的です。
アガルートの技術士講座をレビューしました。驚愕の返金制度あり>>
技術士講座の比較については、こちらでまとめたので、気になればどうぞ。
技術士(二次試験対策)のおすすめ通信講座を6社紹介>>
まとめ
ここまでお読み頂きありがとうございます。
「答案作成で重要だったこと」、「アガルートの必須科目Ⅰの添削レビュー」をまとめます。
・雑誌や本で集めた知識を答案に書いても、集団を抜け出せない。
・自分の受験科目の「専門家」として書く。これが差別化に繋がる。
・かといって、自分よがりで題意を外すのはNG。専門科目のキーワードを適切に使うこと。
・そのため専門科目のキーワードを、自分の業務経験に結びつけて、専門家としての視点で書くこと。
・「最も重要な課題」の箇所、タイトル目次を必ず提示する
・チェック項目が14項目でABC評価されるので、「弱い点」がすぐ見つかる
・「弱い点」を「どう修正すれば良いか」、一目でわかるので、勉強の効率も上がる
・自分の答案が、細かく「褒められ」「添削」されるので、修正する「モチベーション」も上がる
▼他にもアガルートの答案添削例が見たい方は、こちらが参考になると思います。
アガルートの技術士通信講座で選択科目Ⅱ-2添削を受けてみた>>
アガルートの技術士通信講座で選択科目Ⅲ添削を受けてみた>>
▼スタディング講座でC→A判定を取った軌跡をまとめました。
スタディングの技術士講座で選択科目Ⅱ-2を受けてみた>>
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